キヤノンサイエンスラボ 光って何?

情報を光の信号でやりとりする光ファイバー通信。光信号を伝える光ファイバーはきわめて高純度な石英(ガラス)繊維でできています。その透明度は1km先まで元の光の95.5%を伝えるほど。厚さ1kmの窓ガラスでも外が見えるということですから、ふつうの窓ガラスなら数センチで光が半減してしまうことを考えると、どれだけ透明度の高い素材でできているかがわかるでしょう。この高い透明度によって、遠距離伝送でも光信号の減衰のない低損失な通信を可能としているのです。

詳しく見てみよう
光をコアに閉じこめる

光ファイバーは中心部の「コア」と、それを取り巻く周辺部の「クラッド」という2層のガラス繊維で構成されています。コアには高屈折率、クラッドには屈折率のやや低いガラスが使われます。これは光の性質を利用してうまく信号を伝えるための工夫です。光は、屈折率が均一な媒質中では直進しますが、屈折率が違うふたつの媒質の境界面では、高屈折率のほうに折れ曲がったり(屈折)、反射します。
光ファイバーでは、光信号は中心部のコアのなかを進みます。コアとクラッドの境界面では、屈折率の違いによって光信号が全反射するように作られているのです。この光の全反射の原理を利用して、光をコアに閉じこめて伝えるのが光ファイバーなのです。

光ファイバー通信に最適なレーザー光

光ファイバー通信の光信号にはレーザー光が使われます。なぜレーザー光が利用されるのでしょうか? ふだん目にしている太陽の光や電灯の光は、さまざまな波長の光が集まったものです。それぞれの波の位相、つまり波の山と谷がばらばらで一致していないため、光もそれほど強くはありません。これに対してレーザー光は単一波長で、波の位相も一致していますから、非常に強い光が得られます。光ファイバーの内部を通過する光の速度は波長によって変わってしまいます。さまざまな波長をふくむ一般光では、伝搬速度にズレが出て一定時間内にたくさんの信号を伝えられません。単一波長で位相のそろったレーザー光は、分散が少なく、遠距離伝送に最適な光なのです。

シングルモードとマルチモード

光ファイバーは、光信号の伝え方によって大きく2種類に分類できます。ひとつはコアの直径が小さな「シングルモードファイバー」。コア直径が10マイクロメートルほどで、光パルスの伝搬形態(モード)がひとつにかぎられます。もうひとつはコアの直径が大きな「マルチモードファイバー」。こちらはコアの直径が50マイクロメートルと大きく、反射角度の異なるいくつもの光パルスを伝えることができます。ただし、マルチモードファイバーでは反射角度によって光の伝搬距離が変わってくるため、信号の到着時間にズレが生じてしまいます。このため、おもに近距離の中小容量通信に利用されます。現在一般に利用されている光ファイバーの大半は、長距離でも高速大容量通信が可能なシングルモードファイバーです。

光ファイバーに光を送り込む

光ファイバーのコアの直径は10マイクロメートルから50マイクロメートル。このコア部分に効率よく光信号を送り込むために使われるのが、「LD(Laser Diode)モジュール」です。高出力のレーザー発光素子から出たレーザー光は、モジュール内のレンズを通過して光ファイバーのコア部分に入射されます。効率よくレーザー光を絞り込み、光ファイバーの受光角度の範囲に導くために、球形の球レンズと棒状のロッドレンズの2つのレンズが使われています。