キヤノンサイエンスラボ 光って何?

光を放つ“みなもと”を、光源といいます。
光源には、太陽や星、稲光、生物発光などの「自然光源」と、白熱灯、蛍光灯、ナトリウム灯などの「人工光源」に分けられます。また光源には、一定時間内に放射する光量が変化しない「定常光源」(太陽や白熱灯など)と、変化する光源があります。蛍光灯は、一見すると定常光源ですが、実際には人間の目に感知されないだけで、電気の周波数で変化しています。ここでは人工光源のいろいろを見ていきましょう。

詳しく見てみよう
白熱灯は熱せられて輝いている

白熱灯の明かりは、蛍光灯の明かりと比べて黄色みがかった色に見えます。これは、白熱灯は、熱から光を得ているランプだからです。熱せられているのは、「フィラメント」という芯の部分。フィラメントは、金属のタングステンを材料に作られ、二重コイルのかたちになっています。タングステンは電気抵抗が大きく、電流を流すと白熱します。電気抵抗が大きいと熱をもつのは、中を流れる電子と物質による摩擦があるからです。摩擦熱を発し、高温になると光が発生します。白熱灯のフィラメントにタングステンが使用されているのは、タングステンが高温でも溶けにくい性質をもっているためです。また、電球の中にはガスが注入されていて酸素がないので、燃えることはありません。

この白熱灯は、1879年にエジソンによって発明されました。当時はフィラメントに日本の京都産の竹を蒸し焼きにした炭素線を使ったそうですが、現在はさまざまな工夫がされた電球が作られています。電球内面に光の透過、拡散性に優れたシリカ粒子を静電塗装したシリカ球、一般に使われているアルゴンガスより原子量の大きいクリプトンガスを封入してより明るいクリプトン球、内面に反射率の高いアルミニウムを使ったレフランプなど多種類あり、用途別に使われています。

身近な蛍光灯は意外に複雑な仕組み

もっとも普及している照明器具である蛍光灯は、白熱灯よりももっと複雑な発光メカニズムです。蛍光灯の内部では紫外線が作られ、それが目に見える可視光に変換されているのですが、これには放電現象と、電子の「励起状態」「基底状態」が関係しています。まずは、蛍光灯の基本構造から見てみましょう。蛍光灯は、内面に蛍光物質が塗布された細長いガラス管です。内部には水銀蒸気が封入され、管両端には放電電極が取り付けられています。電極に電流が流れて電圧がかかると、両端のフィラメントが加熱され、電子が放出されます。次に、点灯管(グローランプ)がオフになると、フィラメントから放出された電子は電極のプラス方向に流れ、放電します。このとき、紫外線が放出されるのです。

蛍光灯内では電子と原子がぶつかり合っている

蛍光灯で紫外線が発生する仕組みをもう少し詳しく見てみましょう。フィラメントから放出された電子は、ガラス内の水銀蒸気、つまり水銀原子と衝突します。すると、水銀原子は、「原子や分子の最も外側の軌道を回る電子がエネルギーを得てより高い軌道へ飛び上がった状態」である励起状態となります。励起状態の水銀原子は不安定ですので、もとの最低エネルギー「基底状態」に戻ろうとします。そのとき、ふたつの軌道のエネルギー差を光、紫外線として放出するのです。人間の目に見えない紫外線のままでは照明として利用できませんから、蛍光物質に照射して、可視光線に変換します。蛍光灯が白いのは、内面に変換するための蛍光物質を塗布しているからです。この蛍光灯も、直管型だけでなく、リング型、球型などが登場しています。点灯管を不要にして、管の外側の金属ラインで点灯する方式(ラピッドスターター型)など、工夫がこらされています。

照明に使われる白色LED

照明に使われるLED(発光ダイオード)は、太陽光と類似の白い色の光です。光は「光の三原色」といって、RGB(赤・緑・青)3種類の光があれば、白色光を作り出せます。最初は赤色と緑色しかなかったLEDは、青色LEDが開発されて、照明用の白色LEDが開発されるようになりました。
白色LEDを作る方法は2つあって、三原色の3種類のLEDを組み合わせて作る「マルチチップ法」と、青色LEDに蛍光体を組み合わせて作る「ワンチップ法」があります。3色を使うマルチチップ法は、均一な光を得るために各色の発光や配色のバランスを取る必要があり、3色のチップごとに電源回路を付けなくてはなりません。そのため、1つの青色LEDで黄色の蛍光体を発光させて白色に近い色(疑似白色)を作るワンチップ法が開発されました。人間の眼には青い光と黄色い光が混ざると白色に近い色に見えるからです。
ワンチップ法では、青色LEDで、黄色+赤色蛍光体または緑色+赤色蛍光体を発光させる白色LEDが開発され、より自然なLEDの白色光が得られるようになりました。また最近は、近紫外光を発光するLED(近紫外LED:波長380~420nmで発光)が開発され、これを励起光源として、蛍光灯のように可視光全域を発光できる白色LEDもできています。

光源には「色温度」がある

「お店の蛍光灯の下で見た洋服の色が、外の太陽光の下ではまったく違った」「同じ料理でも、蛍光灯より白熱灯のほうがおいしそうに見える」ということは、日常生活でよく経験することです。この違いは何なのでしょう。人間の目に色が見えるのは、その物体にあたった光の反射光を見るからです。つまり色の見え方は、それを照射する光の波長成分の違いで変わってくるので、洋服や料理も違った色合いに見えるのです。

イラスト:物体の色と色温度

イラスト:物体の色と色温度

この色合いの違いは、「色温度」で表されます。これは色度を表す数値で、光源の温度を表す数値ではありません。どんな物体でも、非常に高温に熱するとその物体が光を放つようになりますが、色温度は、光を一切反射しない物体「黒体」を基準に、その温度を何度まで上げれば何色を示すようになるかを示す値となっています。単位はK(ケルビン)を用います。物体の色は、物体の温度が低いときは赤、高くなると青みが強まります。下表のように、赤っぽい色は色温度が低く、青っぽい色は色温度が高くなります。この色温度は、ディスプレイの色設定などで使われています。

色温度と光源の種類
色温度[K] 光源
10,000 晴天
9,000 もやの多い空
8,000  
7,000 曇り空
6,000 フラッシュランプ
4,500 白色蛍光ランプ
4,000  
3,500 500Wのタングステンランプ
3,000 日の出、日の入
2,500 100W電球
2,000  
1,000 ローソクの明かり