レーザープリンター・複合機の搭載技術

キヤノンはレーザープリンター・複合機の開発において、画質、スピード、操作性などの基本性能の向上はもちろん、ネットワーク対応、拡張性の実現、環境配慮など、時代の要求に合わせた製品開発を続けています。

電子写真技術のプリントプロセス

レーザープリンター、オフィス向け複合機、デジタルプロダクションプリンティングシステムなどは、同じ原理でプリントを行っています。

1 帯電

感光ドラム表面にマイナスの静電気を帯びさせます。

2 露光

光で感光ドラムに画像を描きます。レーザー光の照射部分は静電気がなくなります。

3 現像

トナーを感光ドラムに近づけると、静電気のない部分にだけトナーが付着します。

4 転写

感光ドラムを用紙に密着させ*、用紙裏側からプラス電荷を与えて、トナーを用紙に移します。

5 定着

トナーが転写された用紙に熱と圧力を加えて、トナーを用紙に定着させます。

  • *
    カラー製品のほとんどは、感光ドラムから中間転写ベルトにトナーを移し、それを用紙に移す方式になっています。

コンフィギュレーションフリー・アーキテクチャー

プリンターから複合機まで、機能の組合せ自在

単機能プリンターから複合機まで、多品種な製品を低コストで短期開発できるよう、デバイスや操作部、機能の組合せが自在で、かつ軽量コンパクトなアーキテクチャーを開発しました。

このアーキテクチャーを用いることで、スキャナやプリンターといったデバイスや操作部、コピーやプリントやスキャンなどの機能を自在に組み合わせ、製品化できるようになりました。

コンフィギュレーションフリー・アーキテクチャーの概念図

このアーキテクチャーは、各デバイスや機能をブロック構造で実現し、それらのブロックを組み合わせることで多品種モデルを容易に製品化できます。また、ブロックの流用が簡単であるため、開発の効率化と高品質化に貢献。モバイルプリントや認証機能などの新機能追加も容易となり、高機能化にも貢献します。

さらに、このアーキテクチャーは、言語依存部分が完全分離されており、同時に30言語以上の製品化対応を可能としています。

パッド転写高画質化技術

シンプルな機構で画質を向上させる電界制御技術

レーザープリンター・複合機のカラー画像は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色のトナー像を感光ドラム上に作像、中間転写ベルト上に順次1次転写し、4色重ね合わせて形成されます。この1次転写の際、従来は転写ローラーをプラス帯電させることで、マイナス帯電しているトナーをベルト上に転移させていました。

新しく開発された「パッド転写高画質化」技術では、中間転写ベルトの1次転写部材にパッドと摩擦抵抗が少ない特殊な導電性シートを採用しています。従来の回転体ローラーでは、はく離放電などによるトナーの飛び散り現象を抑えるため、部材追加やローラーを大きくする必要がありました。

パッド転写高画質化技術

この技術では導電性のシートを採用する事で部材追加などの必要がなくなり、小さくシンプルな構成を実現しました。このシートにプラス電圧をかけることでマイナスを帯びたトナーを中間転写ベルトに引き寄せ、転写時のトナーの飛び散りなどがなくなり、シャープな文字印刷を実現しました。このシートの電気抵抗を小さくすることで転写のための電圧も、従来の約1/10に抑えられ、機器全体の小型化と低コスト化に貢献しています。

オートメディアセンシング技術

メディアの種類を自動判別し、最適設定でプリント

レーザープリンター・複合機には、紙だけでなく樹脂フィルムなどさまざまなメディアが使用されます。ユーザーは、パソコン画面やプリンター本体の操作パネルで、その時の使用メディアに合った設定をしなければなりません。これは、トナーをメディアに定着させる際、メディアごとに最適な熱量が異なるためで、適した熱量でないと、4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のトナーがメディア上で溶け切らないために画質が低下したり、はがれやすいプリントになったりします。

CMOSセンサー&制御IC

こうしたマニュアル設定の不便さと設定ミスによる低品質という二つの問題を一挙に解決したのが、新開発のオートメディアセンシング技術です。

まず、トレイから送り出されたメディアの表側にLEDで光を当てて、メディアの表面をCMOSセンサーで撮影し、次いでメディアの裏側からLEDで照射して、透過光を測定します。この二つの情報を本体内部(ライブラリー)にあるデータと比較し、7種類※1のメディアのどれに該当するかを自動判別。この判別結果をもとに最適な設定でプリントを行う技術です。

オートメディアセンシング技術のしくみ
メディア表面の画像

プリント用メディアの種類は膨大ですが、自動判別のためのデータライブラリーは、数千におよぶメディアの表面画像を解析してつくられました。オートメディアセンシング技術を搭載したレーザープリンター・複合機では、ユーザーの負荷なく、メディアに左右されない安定した高画質なプリントを得ることができます。

  • ※1
    7種類のメディア
    普通紙、ボンド紙(小切手、証券類や高級事務用などに使われる良質の用紙)、薄紙、厚紙、グロス紙(写真プリントなどに使われる光沢紙)、グロスフィルム(光沢のある樹脂フィルム)、OHT(プロジェクターの投影原稿などに使われる透明な樹脂フィルム)の7種。

薄型化技術

カラー機の高さを抑え薄型化を実現

オフィスのデスク周辺で使われるレーザープリンター・複合機に対する小型化へのニーズは高く、キヤノンはさまざまな技術革新に取り組んできました。A4カラーレーザープリンターの最薄(高さ262mm)のローフォルムを実現した設計技術が「薄型化技術」です。この技術は各機構を小型化・薄型化する技術で構成されています。

4 in 1薄型レーザースキャナー

4 in 1薄型レーザースキャナー

従来のレーザースキャナーは、4つの感光ドラムに4つのレーザースキャナーで走査していました。「4 in 1レーザースキャナー」は、一つのポリゴンミラーに向かって4色分のレーザー光を斜めにあてて光路を4方向に分け、ミラーで反射してそれぞれの感光ドラムへ導くという方法です。ポリゴンミラーをスキャナー本体中央の低位置に配置し、レーザーの光路を綿密に設計することで実現したのが、高さ50mmというさらなる薄型化を達成した「4 in 1薄型レーザースキャナー」です。

薄型高圧電装技術

薄型高圧電装技術による高圧電源基板

徹底的に小型・薄型を図るために高圧電源基板も薄型に新開発し、本体側面に収めました。レーザープリンター・複合機は機器の特性上、高圧電流を印加する必要があるので、電源基板が大きくなる傾向があります。薄型化するために、従来は電磁トランス※2を用いていた高圧電源をピエゾトランス※3に変更、高さを約半分の8.0mmに抑えました。また、トランスの周波数制御回路を新開発のICチップに集約、回路面積を1/3にしています。

  • ※2
    電磁トランス
    電磁誘導で電圧の高さを変換する変圧器。電磁誘導を利用する電磁コイルのトランスが従来型。
  • ※3
    ピエゾトランス
    圧電素子(セラミック)のピエゾ効果を利用するトランス。

薄型化構造設計技術

レーザープリンター・複合機本体を薄型にするため、トナーカートリッジの配列は従来の垂直方向から水平方向とし、引き出し式のオペレーションを開発しました。さらに、自然対流を利用した放熱ファンのない「ファンレス設計」、筐体剛性と軽量化に注目した本体設計も行いました。