半導体露光装置の搭載技術

日々進化する半導体の世界。キヤノンの半導体露光装置は、最先端の厳しい要求に応えながら、先を見据えた技術開発に注力してきました。そして、キヤノンの光学技術や制御技術をけん引する役割も果たしています。

ステージ同期制御技術

半導体の高い良品率と生産性を両立

半導体を支える技術として、線幅の微細化技術とともに重要なのがステージの同期制御技術です。ステージの位置決め精度は半導体の良品率に、移動速度は時間あたりの生産性に影響します。

ウエハー/レチクルステージの同期イメージ

スキャンアンドリピート方式※1の半導体露光装置は、ウエハーステージとレチクルステージを同期させて、連続的に動かしながらウエハー露光を実行します。ウエハー上の正しい位置にフォーカスを合わせて均一な露光量でレチクルパターンを露光するために、各部の動作は非常に高精度に制御されます。

微細な線幅を実現するには、ウエハーの平坦度※2も見逃せません。ウエハーのわずかな凹凸に合わせて、1ショットごとに両ステージとレンズの位置を補正し、微細な線を露光します。

  • ※1
    スキャンアンドリピート方式
    レチクルとウエハーの両方のステージを動かしながら露光する方式。ウエハーステージのみが動くステップアンドリピート方式と比べ焦点深度がとれ、チップサイズの大型化に対応が容易といったメリットがある。
  • ※2
    ウエハーの平坦度
    ウエハー全体のそりだけでなく、1ショットの範囲(20mm2くらい)の数nmベルの凹凸も問題になる。

裏面アライメント

後工程への展開が期待されるLSI積層化の核心技術

1枚のウエハーに何回にも分けてマスク上のパターンを転写する半導体の露光工程では、ウエハー表面に描かれた複数のアライメント(位置決め)マークを読み取ることで正確な位置を把握しています。一方で、さらなる高集積化に向けてLSIの3次元積層実装が有望視されるようになり、その実現のためにウエハー裏面でアライメントを行う技術の開発が急がれました。3次元積層実装とは、回路が描き込まれた複数のLSIを積み重ね、上下を貫通する電極によって回路を導通させることで、1つのLSIとして機能させる技術です。電極を通すための穴を形成するプロセスでは、正確なアライメントが必要になります。

「TSA-scope」技術の原理

キヤノンはウエハーに赤外光を透過させて、ウエハー裏面のアライメントマークを読み取る「TSA※3-scope」を開発しました。このTSA-scopeには、裏面から直接位置を検出する方法と比べて計測可能範囲に制約がないというメリットがあります。また、さまざまな実装工程に適用できることから、キヤノンが半導体製造の後工程にも製品を展開するキーテクノロジーとして、多彩な応用開発が進められています。

  • ※3
    TSA(Through Silicon Alignment)
    波長の長い赤外光により、ウエハー裏面に形成されたアライメントマークをシリコン透過観察するアライメント方法。

露光装置アプリケーションプラットフォーム

トータルな生産性向上を支援

各種アプリケーションの役割

半導体露光装置のソフトウェアは、ハードウェア性能を最大限引き出すのみならず、トータルな生産性向上に寄与するという重要な役割を担っています。ソフトウェアシステムの核となるアプリケーションプラットフォームは、複数のCPU/OSをつなぐインフラと、基本的な制御やデータ管理を支えるプラグイン可能なフレームワークとで構成され、多様化する半導体メーカーのニーズに迅速に応えることを可能にしています。

オンラインやGUI、EES※4、半導体メーカーの生産管理システム用のインタフェースを共通化しただけでなく、それをオープン化したことにより、装置内外からさまざまなデータへのアクセスやきめ細やかな制御が可能となり、ソリューションの提供を容易にしています。

現在FPA-7000シリーズにはこのプラットフォームが適用されており、今後は「レシピサーバー※5」などと連携し、ソリューションシステムへと展開していく予定です。

  • ※4
    EES(Equipment Engineering System)
    装置エンジニアリングシステム。半導体製造における精度や生産性の向上には、露光装置だけでなく周辺装置との連携が不可欠。データを共有するためのシステムやインタフェースを備える。
  • ※5
    レシピサーバー
    ウエハー露光のためのレシピ(制御情報)を装置毎に作成・編集可能であり、生産管理システムと連携する。