放送機器の搭載技術

キヤノンはHDTV(高精細TV)放送用レンズやネットワークカメラなどに加えて、次世代TVのスーパーハイビジョン(SHV)放送用レンズを開発。プロの要求に応えています。

AF搭載100倍HDTVズームレンズ

世界最高峰の放送用ズームレンズに先進のAF機構を搭載

キヤノンの放送用TVレンズは、優れた光学性能と高い信頼性で市場の支持を得ています。世界初の「100倍HDTVズームレンズ」は、その最上位モデルです。

このレンズは、新硝材のUD(Ultra Low Dispersion)ガラスや蛍石などの光学素子製造技術と、素子特性を最大に発揮する光学設計技術により、実用的なレンズ本体の大きさのまま色収差や像面湾曲などの補正を行うことで100倍ズームを実現しました。撮影状況に応じて防振特性の切り替えが可能なシフト式光学防振機構や、高精度レンズ操作が可能なデジタルサーボシステムも標準搭載されています。

最新モデルのDIGISUPER 100AFでは、キヤノン独自のAF機構を搭載。位相差方式測距センサーの採用で、フルハイビジョン映像にふさわしい高い合焦精度、高速移動する被写体に焦点を合わせたままの追従、大きく外れたピントからの高速フォーカス合わせなどを実現して、プロカメラマンのニーズに応える実用的なフルタイムAFを可能にしました。

DIGISUPER 100AFの使用例

SHV対応ズームレンズ

フルハイビジョン用レンズの約4倍の性能をもつ超高性能ズームレンズ

キヤノンの放送用レンズには50年の歴史があり、優れた光学性能と高い信頼性で厚い支持を得ています。特に、ダイナミックな映像を生み出すズームレンズの評価は高く、NHKが2025年の本放送開始を目標に進めるSHVの撮像システムの開発にも参画しています。

SHVはフルハイビジョンの16倍の情報量をもつ垂直方向の走査線4,320本の超高精細映像であり、撮影用のレンズには、縦幅1mmの間に白黒の線が少なくとも240組認識される解像度が求められます。このような非常に高い空間周波数においては、光が波の性質をもつことにより、レンズの絞りを絞り込むほど性能が低下してしまう光の特性(回折)の影響が大きくなってきます。このため、レンズには明るいFナンバーとその開放付近での収差(レンズがもつ性能低下の要因)を極限まで補正する必要があります。

このような高度の条件のもと、キヤノンは本放送へ向かう第一歩として、独自の光学理論と設計技術、そして新たな光学材料の採用や製造技術の向上により、NHKと協力して、SHVシステム初の10倍の変倍比を誇るズームレンズの開発に成功しました。このズームレンズでは、色収差(色にじみ)と像面湾曲(画面周辺像の解像力低下)を広角端から望遠端までのどのズームポジションでもほぼゼロとし、自然で高品位な描画性能を実現しています。

また、実用性の点から小型化・軽量化を図り、レンズを動かす電動ユニットも開発して、従来のハイビジョン用カメラと同等の操作性を確保しました。

SHVの解像度比較
SHVは現行HDTVの16倍の解像力を有する
SHVの10倍ズームレンズ