キヤノンサイエンスラボ・キッズ
野菜工場では、野菜の光合成にランプの光を使っています。
最新の野菜工場では、赤色の発光ダイオード(LED)を利用して、レタスを畑の4倍の早さで成長させています。
赤い光で育つリーフレタス。光量や温度はコンピュータで完全管理され、無農薬で栄養価の高い野菜が育つそうです。
野菜工場で作られている野菜は、モヤシ、キノコ、リーフレタス、サラダ菜、ホウレンソウ、ハーブなどです。
モヤシやキノコは光合成が必要ありませんから、光がないところでも育ちます。緑色の葉っぱ野菜は光合成が必要ですから、ランプで照明します。ランプには、ナトリウムランプや蛍光灯(けいこうとう)が使われてきました。その照明がいま、発光ダイオード(LED)に変わりつつあります。
LEDには、赤、黄緑、黄色があります。1990年代に青色と、明るい緑色が発明され、光の3原色(赤・緑・青)がそろったので、LEDでカラー表示ができるようになりました。そしていま、製品に利用されて急速に一般化(いっぱんか)しています。携帯電話(けいたいでんわ)の着信ランプや交通信号機などで使われるLEDはしょっちゅう見かけるようになっています。
そんなLEDのメリットは、軽くて小さくて低消費電力で長持ちすること。熱もほとんど発生しません。
そう、LEDは、ずっと光を当て続けなくてはならない野菜工場の照明にぴったりなのです。
欠点は、LEDの価格がまだあまり安くないことなのですが、野菜工場では、光合成に有効で、比較的(ひかくてき)価格の安い赤色LEDをうまく利用することで、解消しています。
ではなぜ、赤色LEDの光が、植物の成長を助けるのでしょうか。それは、赤色LEDの発光波長(660ナノメートル前後)が、光合成にぴったりだからです。
光合成は、植物の細胞(さいぼう)内の葉緑素(クロロフィル)が光を吸収することで行われます。クロロフィルは、波長600~700ナノメートルくらいの光をよく吸収します。だから、赤色LEDの光を当てると光合成が盛んになって成長が早くなるのです。
しかし、赤色だけで植物が育つわけではありません。発芽には、波長450ナノメートル前後の光も必要です。青色LEDの発光波長(450ナノメートル前後)は、発芽にぴったりです。図のように、赤色と青色の両方を使うと、植物を効率よく育てられることがわかります。
ただ、青色LEDはまだ価格が高くて(1個数十円)、安い赤色LEDの10倍もします。そんなこともあって、野菜工場では、赤色LEDだけで育つリーフレタスなど、一部の野菜に限って生産しています。
将来、青色LEDが安くなれば、もっとたくさんの種類の野菜が野菜工場で生産されていくことになるでしょう。
LEDは、イカ釣り(つり)でも注目されています。
イカは、470~490ナノメートルの光によく反応して集まってくるので、青色LEDの照明をイカ漁に使うと効果があるのではないかと、研究がされています。LEDは消費電力が少ないので、漁船の燃料代の節約にも役立ちます。
ほかにも、真珠(しんじゅ)の養殖(ようしょく)で、アコヤ貝の発育に青色LEDの効果があるのではないかと、研究されています。
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