光を記録する 露出ってなに?

フィルムと感度

「シャッターとしぼりを調節して、ちょうど良い光を感光材料に当てる」・・・このときの光の量が、いわゆる適正露出(ろしゅつ)です。ですから、被写体(ひしゃたい)が明るければ、シャッタースピードを速くしてしぼりを小さくしぼりこみます(しぼりの値は大きくなる)。暗いときはこの逆です。また、同じ明るさでも、シャッターをおそくすればしぼりをしぼり込むことで(またはその逆で)、感光材料に当たる光の量を一定にできます。
さらに露出(ろしゅつ)を考えるときには、感光材料の感度も計算に入れる必要があります。この感度は、銀塩式の場合はフィルムの種類によって決まっていますが、デジタル式の場合はカメラの側で切りかえることが可能です(ふつうはオートで撮影(さつえい)することが多い)。
感光材料に当てる光の量は、これら、被写体(ひしゃたい)の明るさ、感度、シャッタースピード、しぼり…の4つの要素によって調節することになります。

ただし、ちょうど良い光の量=適正露出(ろしゅつ)といっても、それはひとつの値にはなりません。フィルムや撮像(さつぞう)素子が写し取れる光の量には、かなりの幅(はば)があります(これを露光許容範囲(ろこうきょようはんい)あるいはラチチュードといいます)。また、光の当たっている部分からかげの部分まで、被写体(ひしゃたい)の明るさにも幅(はば)があります。適正露出(ろしゅつ)とは、被写体(ひしゃたい)の写したい部分がきちんと写り、被写体(ひしゃたい)の明るさの幅(はば)が感光材料の写し取れる光量の幅(はば)(=ラチチュード)にマッチするような露出(ろしゅつ)のことです。ですから、たとえば写真全体を明るくしたいときと暗くしたいときでは、適正露出(ろしゅつ)は変わってきます。プロのカメラマンが自動露出(ろしゅつ)にたよらず、自分でシャッタースピードやしぼりを調節するのは、ひとつはこのためです。

フィルム箱の感度表示

フィルム箱の感度表示

フィルム箱の標準露光(ろこう)表

フィルム箱の標準露光(ろこう)表

ファインダー内の露出(ろしゅつ)表示

ファインダー内の露出(ろしゅつ)表示

しぼり値とシャッター速度

シャッタースピードの値は、1000分の1秒、500分の1秒、250分の1秒…というように、1段階ごとに2倍(あるいは2分の1)になるように刻まれています(単位は「○○分の1秒」です)。このため、シャッタースピードを1段階おそくする(あるいは速くする)と、光の量は2倍(あるいは2分の1)になります。

一方、しぼりの値は、1.4、2.0、2.8、4.0、5.6…と、ちょっと不思議な間隔(かんかく)です(単位は「F」で、このためにしぼりの値をF値と呼ぶこともあります)。これは焦点比(しょうてんひ)によってしぼりを表しているためで、光の束の直径に比例しています。しかし、光の量は束の直径ではなく面積に比例するため、しぼりの値は2倍(あるいは2分の1)ごとにはならないのです(ルート2の倍数になります)。でも、光の量はしぼりを1段階あけると(あるいはしぼると)、2倍(あるいは2分の1)になります。

シャッタースピードもしぼりも1段階で2倍の比率で表してあるのは、一段階のちがいを同じにするためです。撮影(さつえい)の時にシャッタースピードやしぼりを変える場合に大変便利なのです。
たとえば、シャッタースピードが250分の1でしぼりが5.6という場合に感光材料に当たる光の量は、500分の1で4.0の時と同じです。また、1000分の1で2.8でも、125分の1で8.0でも同じになります。ですから、「速いシャッターを切りたい」とか「もっとしぼりこみたい」などという場合、シャッターとしぼりを同じ段階だけ動かせば、光の量を変えずにそれが可能になります。
でも、そんな場合ってどのようなシチュエーションなのでしょう?

冠布(かんぷ)をかぶって撮影(さつえい)する写真屋

デジタル一眼レフカメラでのシャッター速度 (1/125) としぼり値 (F4.0) の表示

相関関係表

相関関係表

しぼりとシャッターの効果

シャッター速度としぼり値は、単に光の量だけでなく、写真の表現を変えるために調節する場合もあります。

しぼりの場合、同じ焦点距離(しょうてんきょり)のレンズなら、しぼりこむほどピントの合う範囲(はんい)が広くなります。これは、次のような理由です。

レンズは、理想的にはある点から来た光を1点に集めます。ここにフィルムや感光素子の面があるのがピントがあった状態ですが、前後にずれていると点ではなく、ずれた距離(きょり)に応じて広がった面になります。これがボケです。
一方、人間の目には見分けられる細かさに限界があります。ですから、できあがった写真を見たときに、ボケの量がある程度以上に小さければ「実際はボケているがわからない」状態になります。このため、ピントが合っている被写体(ひしゃたい)の前後にも、ピントが合っているように見える一定の範囲(はんい)ができます。この範囲(はんい)が被写界深度(ひしゃかいしんど)です。

図のように、焦点距離(しょうてんきょり)が同じなら、ボケの直径はしぼりこむほど小さくなり、これによって被写界深度(ひしゃかいしんど)も広がります。ですから、しぼりをしぼりこむことで(そのぶんシャッタースピードをおそくします)、手前から奥(おく)までより広い範囲(はんい)にピントを合わせることができます。また、しぼりの値が同じ場合には、望遠レンズより広角レンズの方が、この効果(被写界深度(ひしゃかいしんど)を広げる効果)がより強く表れます。

逆に、ねらったものだけにピントを合わせ、前後は大きくぼかしたいときなどには、しぼりを開いて(被写界深度(ひしゃかいしんど)がせまくなる)、その分シャッタースピードを速くします。しぼり値が同じ場合は、先ほどとは逆に広角レンズより望遠レンズの方が、この効果(ボケを強調する効果)がより強く表れます。

シャッタースピードの調節は、被写体(ひしゃたい)の動きの表現に影響(えいきょう)します。たとえば、動いている被写体(ひしゃたい)を高速シャッターで撮影(さつえい)すると、被写体(ひしゃたい)そのものがシャープにくわしく写りますが、動きの一瞬(いっしゅん)だけしかとらえられず、あまり動いているようには見えません。逆にスローシャッターで撮影(さつえい)すると、被写体(ひしゃたい)そのものや動いている部分はぶれてしまいます。しかし、「動いている」という感じは伝えやすくなります。つまり、動きをどう表現するかという撮影(さつえい)者の意図を、シャッタースピードの調節で(もちろん、その分しぼりも調節します)写真に表すことができるのです。

なお、カーレースなどの写真で、被写体(ひしゃたい)のマシンはシャープに写り背景だけがぶれている作品を見ることがあります。これは、シャッタースピードをある程度おそくして、レンズを被写体(ひしゃたい)に向けたままカメラごと動かしながら撮影(さつえい)したものです(このような技法を流しどりといいます)。スピード感を表したいときによく使われる手法です。また、川の水が糸のように流れて写っている作品では、カメラを三脚(さんきゃく)などに固定して数分の1~数秒という長時間露光(ろこう)を行ったものです。シャッター速度が極たんにおそいため、感度の低い感光材料を使ったうえにしぼりをいっぱいにしぼりこんで撮影(さつえい)しますが、それでも明るすぎることがあります。このような場合、色のかたよりのないグレーのフィルター(NDフィルター)を使って、レンズに入ってくる光を減らすテクニックがあります。

許容ボケの原理

被写界(ひしゃかい)深度の比較(ひかく)写真 浅いvs深い

被写界(ひしゃかい)深度の比較(ひかく)写真 浅いvs深い

シャッター速度の比較写真 おそいvs速い

シャッター速度の比較写真 おそいvs速い

NDフィルター

NDフィルター

流しどりの写真

流しどりの写真

光のなぞ 光を記録する

このページの上部へ