レンズと反射鏡 光を精密に集めるのは大変!

レンズには収差がある

レンズは、光をくっ折させてその通り道を規則正しく折り曲げる道具といえます。しかし、実際にはさまざまな理由で、光の通り道が規則正しくなくなったり、1点に集まる光が完全には1点にならなかったりします。ですから、光の集まり方がより規則正しく、点に近いレンズを、性能の良いレンズと言います。そして、光の通り道を乱したり、1点に集まりにくくする要素(原因)のことを、レンズの「収差(しゅうさ)」といいます。

球面収差って何?
ふつう、レンズの表面のカーブは、球の一部分を切り取ったようなもので、半径の決まった面(球面)です。これは、レンズの計算をしたり、レンズの材料となるガラスを機械でけずるときなどに便利だからです。しかし、レンズの面が球面だと、周辺に行けば行くほど面のカーブがきつすぎて、焦点距離(しょうてんきょり)が短くなってしまいます。このため、光が完全に1点に集まらず、ボケてしまいます。この現象を、球面収差(きゅうめんしゅうさ)といいます。
ボケる差はたいへんわずかなので、単純なしくみのルーペなどではわかりませんが、光を精密(せいみつ)に集める必要があるカメラレンズや、望遠鏡、顕微鏡(けんびきょう)などでは問題になります。
色収差って何?
とつレンズで光が折れ曲がって集まるとき、ちょっと困ったことが起こります。図で示したように、光はレンズの表面で2回、くっ折するのですが、そのしくみは光を分けるプリズムとよく似ています。つまり、赤や緑や青といった光の色ごとに、折れ曲がる角度がちがってくるのです。プリズムでは、このことを利用して光を分解しています。しかしレンズでは光を集めるのが目的なので、折れ曲がる角度が色ごとに異なると、色ごとに別々の場所に焦点(しょうてん)ができてしまいます。 たとえばカメラのレンズなら、赤い光でピントがあっても、青い光ではボケる…ということが起こり、精密な撮影(さつえい)のじゃまをします。このような現象をレンズの「色収差(いろしゅうさ)」と呼んでいます。

球面収差

色収差

球面と非球面

収差を取りのぞく工夫

色収差はレンズの持っている基本的な性質ですし、球面収差は球面を使っている以上、かならず発生します。ですからこの2つの収差は、レンズをつくる技術をどんなに精密にしても、完全になくすことができません。
そこで、カメラレンズや望遠鏡などのレンズの性能を上げるために、とつレンズとは逆の収差を持つおうレンズを組み合わせるなどして、色収差や球面収差を打ち消す工夫がなされています。高性能なカメラレンズや望遠鏡に、何枚ものレンズが使われているのはこのためです。

さらに最近では、もっと高い性能のレンズをつくるため、特別な方法が用いられています。
たとえば、色収差を取りのぞくための技術には、特別なガラス材料を使ったレンズがあります(UDレンズなどと呼ばれています)。このレンズの材料は、プリズムのような光を分ける効果が非常に弱いため、色収差の量を事実上、問題にならないくらいに小さくできるのです。
また、球面収差についても、周辺にいくに従って焦点(しょうてん)距離(きょり)が長くなるようなカーブの面をもつ、非球面レンズもつくられています。
これらの特しゅレンズを使ったカメラレンズや望遠鏡、顕微鏡(けんびきょう)は、たいへん高い性能を発揮します。

望遠鏡やカメラレンズの光学系断面図

高性能カメラレンズの光学系断面図

SDレンズ

UDレンズ

非球面レンズ

非球面レンズ

光のなぞ レンズと反射鏡

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