日本の文化財の保護と後世への継承を技術でサポート 綴プロジェクト

高精細複製品を制作することで、屏風や襖絵など、貴重な日本の文化財を後世に継承する「綴(つづり)プロジェクト」。キヤノンは入力、カラーマッチング、出力技術で貢献しています。

高精細複製品で伝える文化財の価値

高精細複製品の制作プロセス

綴プロジェクト(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)は、日本の文化・芸術を後世に伝えることを目的とした、特定非営利活動法人京都文化協会とキヤノンの共同プロジェクトです。屏風や襖絵など日本古来の貴重な文化財の高精細複製品を制作し、オリジナルの文化財をより良い環境で保存する一方、高精細複製品を広く一般に公開したり、教育の場などで積極的に活用を行っています。

2007年から始まったこの活動は、2011年3月で第四期を終え、雪舟、狩野永徳や俵屋宗達など国宝や重要文化財を含む合計21作品の高精細複製品を制作。そのなかには海外に渡った作品も含まれ、高精細複製品は元の所有者や文化財にゆかりのある地方自治体などへ寄贈されています。

高精細撮影を実現するイメージング技術

文化財の高精細な複製は、いくつものプロセスを経て制作されます。

最初のプロセスは、オリジナルの文化財の撮影です。これには、キヤノンのプロ用デジタル一眼レフカメラ「EOS-1DsMarkIII」と、超音波モーターを搭載し、高精度な位置制御が可能な専用旋回台を使います。

文化財に負荷をかけないよう長時間照明を避け、キヤノンのストロボを使用して撮影しています。また、このプロジェクトのために開発した専用制御ソフトによる多分割撮影を行い、キヤノンが独自に開発したソフトで画像を合成し、高精細デジタルデータを作成します。

高精度なカラーマッチング技術

プリント出力にあたっては、原画との高精度な色合わせが必要です。撮影時の照明、色合わせ評価時の照明はそれぞれ異なるため、非常に困難な作業です。また、文化財は制作されてから長い月日が経過しており、負荷をかけることができないため、色合わせに十分な時間を確保することもなかなかできません。

そこで、キヤノンでは、ストロボ撮影のデータと照明環境の撮影データの双方を比較し、撮影データのみから色変換に必要なパラメーターを算出。色変換処理を施すことで、測定器を用いることなく、高精度なカラーマッチングを可能とする手法を確立しました。色合わせにかかる時間を飛躍的に短縮することで、文化財への負担を最小限に抑えています。

文化財の“年代”をも再現する出力

綴プロジェクト作品 俵屋宗達筆「風神雷神図屏風」

出力には、12色の顔料インクシステムを採用した大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」を使用します。画像処理後のデータを原寸大で忠実に出力し、経年変化による文化財の微妙な風合い、質感を高いレベルで再現します。

出力後には、日本文化財の特徴である金箔などを貼る作業が京都の伝統工芸士によって行われます。経年変化を表現する「古色」と呼ばれる風合いを重視しながら、作品の持つ“年代”をも再現します。

そして最後のプロセスは、文化財の修復に携わる表具士による日本独自の素材を用いた襖や屏風などへの仕上げです。こうして、オリジナルに限りなく近い高精細複製品が生み出されているのです。

今後もキヤノンは、綴プロジェクトを通じて、日本の素晴らしい文化財の保護と後世への継承をサポートしていきます。

綴プロジェクトの詳細はこちらでご覧いただけます。