遺伝子由来の先天性疾患診断の可能性を拡げる 遺伝子検査装置

さまざまな疾患と遺伝子の関係が解明されつつある今、遺伝による病気の早期発見、発症リスクの診断などに大きな役割が期待される遺伝子検査装置。その研究・開発に取り組んでいます。

米国を拠点に遺伝子検査装置を研究開発

一人ひとりの生命の設計図である遺伝子(DNA)の情報を解析して、病気の原因を確定、また、将来の発症の可能性を検査、診断する遺伝子診断の可能性が大きく広がっています。

例えば、先天性の疾患の検査をしたり、がんなどの治療薬の効果や副作用を確かめたり、ウイルスなどの病原体の存在を検査したりと、遺伝子による診断が医療現場で大きな役割を担いつつあります。

遺伝子診断が盛んなアメリカでは、既に専門の検査センターでの検査結果を用いて、疾病の治療方針の決定に役立てるなどの実用化が進んでいます。

キヤノンは、アメリカのメリーランド州に本拠を置くキヤノンU.S.ライフサイエンスにおいて、画期的な遺伝子検査装置の研究開発を行っています。

遺伝子診断を進展させるキヤノンのイメージング技術

キヤノンの遺伝子検査装置は、精密ガラス加工技術と、半導体露光装置を用いて、ガラス上に20μmほどの深さのマイクロチャネルを形成し、そのなかにDNAと試薬の反応場を作りこむことで、微量のDNA検体を高速に増幅します。さらに、デジタル一眼レフカメラEOSにも使われている高感度CMOSセンサーにより、DNAに標識された蛍光を正確に測定、遺伝子変異を高速かつ正確に検出できる装置です。DNA中の複数の領域の変異を自動的かつ連続的に検査できるため、従来方式では難しかった複雑な検査を迅速かつ簡便に行うことが可能になります。

遺伝子検査装置(モックアップ)

また遺伝子診断には、最新の装置でも、診断結果が出るまでに単純なもので数十分、複雑なものでは数時間から1日以上かかっていました。しかし、このキヤノンの遺伝子検査装置が実用化すれば、1時間前後で複雑な検査を完了できると見込まれています。また、効率的なスクリーニングと、高度な検査を実現することで、検査コストを飛躍的に下げ、遺伝体質による加齢性疾患などでも、早期から発症リスクを抑える生活習慣を促すことができるようになるでしょう。

グローバルな連携で遺伝子診断に貢献

バイオテクノロジーの研究が盛んなアメリカで、キヤノンU.S.ライフサイエンスは大学などの研究機関と協力し、より精度が高い装置や試薬の研究を進めながら臨床現場に適した製品仕様を検討しています。一方、キヤノンは日本でも、高いレベルの「ものづくり」技術を活かして、ユニークな検査方法を実現する量産技術の確立を目標に、研究開発を続けています。このように、遺伝子検査装置は、日米の研究者のコラボレーションにより研究開発が進められています。

実用化に向けたステップとして、2010年11月には、アメリカ・ユタ大学に試作機を設置。今後も設置先をさらに増やし、性能評価やアプリケーションの共同開発を行い、早期の製品化をめざしています。

研究開発レベルでのグローバルな連携により、キヤノンは高速で高精度な遺伝子検査装置を開発・生産し、人類の健康に大きく貢献していきます。