「強い技術」を生む風土・組織

キヤノンの成長の源泉は、「強い技術」にあります。露光・撮像・電子写真・表示・インクジェットといった現行製品の中核力となっている技術を軸に、さまざまな技術の研究開発に取り組んでいます。

製品を支える技術のシナジー

キヤノンは、光学・精密制御技術といった大きな技術の柱のほかに、LSI設計や画像処理・イメージング技術、そしてそれらを支える材料やシミュレーション・分析・解析・ソフトウェア技術など、多くの「強い技術」を有しています。そして、これらの技術のシナジーが、競争力のある製品を生み出しています。一眼レフカメラ用の交換レンズを例に挙げてみると、光学設計にはじまり、フォーカス駆動用モーターに使われている精密制御や光計測技術、レンズの性能を引き出す各種材料技術、収差補正やレンズの小型化を実現する生産技術、装着したレンズの情報を本体に通信するデジタル技術など、実に多くの技術が搭載されています。

これら多岐にわたる技術は、必ずしも同一の部門で研究開発を行っているわけではありません。しかしキヤノンは、部門を横断して目的を共有し、一丸となって「No.1の製品」をつくり上げていこうとする企業風土とフラットな組織体制が根づいており、全社挙げての総合力が、大きな強みのひとつとなっています。

長い経験が生み出す“擦り合わせ技術”

技術のモジュール化が進む一方で、製品を構成する部品や材料を微妙に相互調整することで高い性能を発揮させる“擦り合わせ技術”もまた、多くの製品に競争力をもたらしています。

コントロールが極めて難しいといわれている静電気を巧妙に扱って安定した品質の製品を供給することに成功した電子写真技術、緻密な微細加工部品の組み合わせと液滴・温度制御技術などが集結したインクジェット技術は、現場の知恵と工夫がなければ完成しない“擦り合わせ技術”が軸となっています。

これらの技術は、理論のみでなく、長い経験とノウハウの蓄積なくしては決して実現しなかった、まさにキヤノンの歴史とともに育まれた強みです。

技術を守り育てる特許戦略

「論文を読むなら特許を読め。レポートを書くなら特許を書け」。これはキヤノンの研究・開発部門で語り継がれてきた言葉です。

技術者や特許担当者が他社の先行特許を読み込むことにより、単に他社の特許への抵触を防ぐだけでなく、自社の技術を強化することにもつながりました。またできるだけ多くの技術を権利化することにより、企業としての利益を守るとともに、その蓄積がクロスライセンスの材料となり、技術開発や設計の自由度を高めることを可能にしました。

キヤノンの特許部門が組織化されたのは1958年で、開発部門の技術部のなかに「特許課」として誕生。キヤノンが複写機市場に参入した1960年代後半から、キヤノンの特許戦略は急速に進化していき、その後も、多角化を推し進めるキヤノンにとって、特許戦略の重要性はますます高くなりました。キヤノンは源流にある精密技術、光学技術に加え、電子技術、記録技術、システム技術、通信技術などにも特許戦略を浸透させ、その裾野を広げていきました。