![]()
![]()

学生映画で賞をとり、ファッション写真などの仕事もする奥山由之。
自分がみた夢を表現した作品をブックにまとめた。
夢と現実が入り混じる作品はどのように生まれたのだろうか。
夢の繊細さを表現したかった
—奥山さんは映画を作り始めたほうが、写真より早かったんですか。
そうですね。中学の3年間でクレイ・アニメーションを作っていて、やはり映像に対する興味から、高校生になってからは映画を作るようになりました。とにかく何事も自分でやってみたい性格なので、監督や脚本、撮影、美術、編集に至るまで一人でやっていました。2010年に俳優の竹中直人さんにも出演して頂いて4作目の映画を本格的に作ったのですが、その作品でやりたいことは全部やりきったと思えたので、今はしばらく映画から距離を置いています。
—写真を始めた理由は。
映画を作るとき、カメラワークの構図を決めるために中古カメラを買ったのがきっかけです。そのカメラで写真を撮っているうちに、台詞や音の無い“画”のみで何かを表現する、という写真の面白さに興味が湧きました。映画だったら、登場人物の関係性というのは見ているうちにだいたい把握できますよね。ところが写真では、その被写体が恋人なのか家族なのか、はたまた他人なのか、断定することは難しいと思うんです。写真は抽象的で曖昧なところがあり、いい具合にその作品の意味合いを断定させない、という魅力があると思います。そういった魅力を活かして、言葉では表現しにくい、心の中にモヤモヤと浮遊しているものや、想像と現実の境界線にあるものに目を向けたいといつも思っています。
—応募作の「Girl」の発想のきっかけを教えてください。
深夜、ベッドに入っても、浅い眠りを繰り返すばかりで、明け方まで眠れない時期があったんですね。そんな時、早朝のまだ薄暗い明かりに照らされたシーツのドレープが目に入ったんです。奇跡的に作られたその緩やかな曲線は、僕が少し触っただけで簡単に崩れる。その脆さや儚さゆえの美しさが“夢”や“被写体の女の子と自分の関係性”を連想させた。夢は、きれいなものをみても、すぐ忘れてしまうでしょう。そういった誰しもが経験する繊細なものであったり微妙な心の揺らぎのようなものを表現したいと思ったんです。作品に登場する女の子は、実際によく夢に出てくる友人です。
—カラーとモノクロが混じる夢なんですね。
そうなんです。ポラロイドフィルムで撮った写真をスキャンして拡大したり、一度プリントアウトしたものを複写したり、ストレートにフィルムで撮ったものもあります。夢は、統一感なく、とびとびでつながっているものだったりしますが、そういった雰囲気をメディアを変えることで表現したかったんです。複写すると、イメージがのっぺりして現実と写真との間に一段階の距離感が出る。その距離感がまさに僕とこの友人との心の距離感を表していると思います。
—映画をやっていただけあって、シークエンスがすごくしっかりしていますね。
夢と夢の区切りとして、シーツのカットを入れることによって、短い夢を見ては目を覚まし、現実において夢を具現化したシーツが目に入る、という繰り返しの流れを作りました。シーツがあまり多いとしつこく見えるので、流れがつながりやすいところは、最終的にシーツの写真を何枚か外しました。シークエンスは、作品を作るときに何よりも一番意識している要素です。撮った写真の中から、何を選んで、どこからどういう流れで見せていくのかが、その写真家の力量を決めると思っています。。
—展示の構想は?
受賞が決まった直後、4m×4mの壁面で自由に展示していいという条件をもとに、まず適当にレイアウトのラフ画を描いておいたんです。勿論、展示プランを練っていく数ヵ月のうちに、そのレイアウトではない別のレイアウトにどんどん変化していきました。何度も悩み、二転三転して、最終的に「これだ!」と決まったレイアウトの図面をフレーム業者の方のところへ持っていったんです。それから少しして部屋を整理していたら、存在を忘れていた最初のラフ画が出てきたのですが、見てみると驚くことに、あれだけ悩んで決めた最終決定のレイアウトと全く同じだったんです。悩んで悩んで結局一周したんですよ。やっぱり、なんとなくでも直感的にいいと思っているものこそが本当に自分が作りたいものなんだろうなぁと確信しました。

-
1991年東京都生まれ
-
2007年全国高校生映画コンクール グランプリ
-
2009年慶応義塾大学法学部入学 在学中
-
2010年個展「5」・個展「s/s」
-
2011年写真集『Amp Cut』出版
第3回沖縄国際映画祭 特別上映

