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被写体への愛を表現したい
—クロダさんは、恋人の写真を撮っていらっしゃるのですか?
微妙に違ってセックスをした相手の写真です。最初は、夏休みの課題発表のために、大学に入学して知り合った半同棲状態の同級生の写真を撮ったんです。その後、友達から男と女の関係になった男性2人の上半身ヌードを撮影して発表したら、周りの人たちにすごく褒められた。それで、関係を持った相手を撮ることに意味があると思ったんです。行為をしたから生まれる「情」が写真に表れるんだと。
また、セックスをすることによって、相手にすごく近づいたような、相手のことがわかったような気持ちになれるんです。その気持ちのおかげで写真が自由に撮れるんです。私はそれを大切にしていきたいと思っています。
—彼らとの関わりをもう少し教えてください。
誰かが「写真はこの世で唯一時間が止められる道具」だと言っていました。初めてそれを聞いたときには、いつのことだったか覚えていないんですが、魔法のようだなと思いました。私は自分が愛している人と肌を重ねているときが一番幸せで、その時間を止めていたくて写真を撮り続けています。
関係を持つと、相手のことがとてもわかってくる。相手が自分に好意を持ってくれていることもわかると、自然に楽な気持で撮れる。被写体に愛を感じたいという気持ちがあるんです。写真を続けるうえで、私は現像やプリントといった制作過程を全部好きでいたかったんです。被写体が好きな人だったら、何をやっても楽しくて愛おしいから。世の中には、つらいことがあっても元気に生きている人は何万人もいる。私もいろいろなものに愛を感じて生きていきたいし、写真も被写体も大好きですという感じでやっていきたいんです。
時間が止まった写真に思いを込めて
—今回の作品で撮っているのはどんな人なのですか?
2年近く、ずっと好きだったんです。何回か撮影したものを学校に提出しているのですが、「すごくいいからもっと撮り続けなよ」と周りから言われて。すごく好きだったから、ずっと撮り続けてきました。最終的には、この人が就職したことでふたりの関係が終わりました。この写真は、彼のマンションを解約して私の部屋で最後の夜を過ごした翌朝に撮りました。そして彼がいなくなったマンションの写真まで撮ってストーリーを作り、泣きながら作品をまとめたんですね。
—ふたりの関係性の中で、カメラがあると邪魔にならないですか?
カメラが邪魔だと感じたことは一度もありません。写真を撮っているのが私なので。今の彼は、一緒に暮らしているので、1日1枚は撮るという感じですが。常に作品にしようと思って撮っているわけではなくて、撮りたいから撮るという感じです。大量にあるカットの中から、プリントアウトするものを選んで、それをさらに4分の1くらいに減らして作品としてまとめました。
—まとめるときに、何を大事にしていらっしゃいますか?
写真は、静止画で動きも音もないけれど、情報はすごく詰まっている。時間が止まっている1枚に、思いや動きを込めるのはすごく難しいけれど、すごく面白いことだと思っています。それに作品を並べて構成することで、動きが出てストーリーが生まれていくのも面白い。いかに見やすいストーリーにするかを一番大事にしています。
今回、ベタ焼きをポートレートと一緒に入れたのは、好きな人をすごく夢中になって連写しているところや私の目線の動きまで見せたいと思ったからです。今はデジタル写真が主流で、それはそれでいいところがあるんですけれど、画像を消してしまえるのが好きじゃなくて。
—将来は、どういう風になっていきたいと思っていますか?
今年で卒業なんですが、大学院に進もうと思っています。刺激し合える仲間がいて、教えてくれる人がいて、モチベーションを高く保てる環境だから。大学院を終了した後のことは具体的に決めていないんですが、人物を撮るのが好きなので、そういう仕事をできればと思っています。今、兄と弟を撮っているんです。関係を持たない、持つことのない男性。しかし、とても身近に感じる男性なので。それでもなお愛情深く撮れることが目標です。
—グランプリを受賞して思うことは?
もちろんグランプリを受賞できたことは嬉しいですが、他の優秀賞を受賞した仲間とは、新世紀の受賞は目標ではなく通過点として考えようと話しています。過去にグランプリではなく優秀賞や佳作を受賞されて活躍されている写真家の方もいます。だから賞を受賞したことが大きなきっかけでした。そこが始まりだと思っています。

- 1986年三重県に生まれる
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2006年京都造形芸術大学情報デザイン科写真コース入学
