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写真で何ができるだろう?写真でしかできないことは何だろう?What can we do through photography? What is possible only through photography?

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写真新世紀2009 優秀賞

杉山 正直 (すぎやま・まさなお)

「オレハ・オララ」

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セルフポートレートで得た手応え
—セルフポートレートの「オレハ・オララ」を撮影したきっかけは何ですか?

以前から、ぶらっと東南アジアやインドは旅してきたんですが、ただ旅を楽しんでスナップを撮るだけじゃなく、一貫したテーマのある写真を撮りたいと思ったんです。
旅は2008年1月21日から9月18日まで8カ月間、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ぺルーなど中南米を12カ国回りました。最初はリオのカーニバルを見たいと思って、あとは流れるままに。何カ月いるとか、どこに何日滞在するとか決めずに行くんです。今回は思ったより長くなりました。
自分を作品に写し込むようになったのは、旅の風景と一緒に自分も写りたいと思ったから。他の人に頼むと、すごくへたくそな写真を撮られることがあるので、それなら自分で撮ろうと。いろいろなやり方を試すうちに「こうだ」と思ったのが、ポートフォリオの最初にある写真です。でも、自分が正面を向くと、自分の後ろに壁ができる気がしたんです。写真を見る人が、写っている僕の表情を気にし過ぎてしまいますしね。

—応募されたポートフォリオには、何点入っているのですか?

200枚ぐらい撮った中から、71枚が入っています。僕自身の思い入れの度合いと、写真的にきちんと収まっているかどうかを基準に選びました。一応、場面を選んで撮るんですが、セルフポートレートだと、その瞬間に確信を持てない。だから祈るような気持ちで撮っています。スナップ写真も同時並行で撮っていますが、セルフポートレートのほうが楽しかったですね。旅の途中で、写真を確認していたんですが、ある程度の数が貯まってきたときに、これはおもしろくなってきたなと。それで、帰国してから写真新世紀への応募を決めました。

—旅の魅力って、どういうところでしょう?

不便さと、それが解消されたときの快感でしょうね。たとえば、ブラジルはポルトガル語圏ですが、中南米の他の国はスペイン語圏。英語も通じないんです。しゃべれなくてイライラが募るんだけど、結局言語なんて関係なく、意志が通じてみんなで楽しく盛り上がれる。一緒に飲んだり、パーティーに呼ばれたりして仲良くなれる。
そういえば、カーニバルの途中でカメラをぶら下げた状態で5~6人の団体に引っ張られて「やばい」と警戒しながら連れてかれたら、「飲め」と。出されたお酒をガーッと飲んだら、「OK、OK、じゃあね」と解放され、カメラを盗もうとしたんじゃないんだと安心した。僕は日本では人見知りなんで、あまりしゃべれない。でも、旅をしていると、最初は恥ずかしいんだけど、だんだん馴染んで溶けこんでしまうというのが楽しい。

篠山紀信事務所で積んだ経験
—杉山さんは篠山紀信事務所におられた。篠山さんは、すごいスランプの時期にリオのカーニバルを取材してスランプを解消します。そして発表した「オレレ・オララ」が30歳のときの記念碑的な作品となった。師匠のことは意識されますか?

僕もこの間30歳になりました。リオのカーニバルに行きたいと思ったときに、「オレレ・オララ」は頭に浮かびましたね。偶然のシンクロなんだけど、僕自身も危機感がありました。カメラマンとして仕事はしているけれど、周囲からは単なる旅好きのおっさんと思われているだろうと。

—篠山さんは、杉山さんにとって、どういう存在ですか?

「写真はすごい」ということを単純に教えてくれた人です。
僕は大学で写真部に入っていたんですが就職活動をしなかった。一方で写真がおもしろかったから、じゃあ写真かなと。お金を払って学ぶより、お金をもらって学ぼうと写真スタジオに就職しました。そこを3年間勤めて辞めようと思ったとき、たまたま篠山紀信事務所でアシスタントの空きができて、知り合いのカメラマンが僕を紹介してくれたんです。
篠山さんに付いているとき思い感じたことは、篠山さんにとって写真はライフスタイルなのかということ。撮る瞬間とかそれまでの準備が写真なのではなくて、一貫した暮らしそのものが写真につながるんです。たとえば僕が篠山さんを乗せて車を運転している間も、ひたすら写真について考えているんですよ。この人はたぶん、寝る寸前まで写真のことを考えているんだろうなと思いました。
僕にはそれは無理なので、なるべく違う特性で自分のスタイルを作り上げたいと思います。人を自然に撮れたらいいなと。その人にとって一番いい顔をしているのは、自然にしているときだと思いますから。

—今回の作品で一番伝えたいことは何ですか?

旅は楽しいということ。それから、この写真は、見たら気分が明るくなるような写真だと思うんですが、僕の気持ちを込めてとかそういうのではなくて、観た人が単純に元気になってほしいですね。

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PROFILE
  • 1977年9月15日
    愛知県名古屋市生まれ、小牧市育ち
  • 2000年7月21日
    有限会社六本木スタジオ入社
  • 2003年3月31日
    株式会社篠山紀信入社
  • 2005年4月1日
    フリーダム開始
  • 現在「 写真」と言うモノに関われていれたらいいなぁと思っている。

E-mail wakadorino@yahoo.co.jp

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