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写真で何ができるだろう?写真でしかできないことは何だろう?What can we do through photography? What is possible only through photography?

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写真新世紀2006 グランプリ

高木 こずえ Cozue Takagi

「insider」

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—森山大道賞、そしてグランプリを獲得。この結果は予想していましたか?

いえ、まったく。びっくりしました。グランプリ決定のときに自分の名前が呼ばれても、ただ驚くばかりでボウッとしてしまいました。森山大道さんに選んでいただいたのも、最初はちょっと意外な気がしました。自分の作品の雰囲気からして、目をとめてもらえるとはあまり思っていなかったので。でも、森山さんに選んでいただいたと聞いたときはすごくうれしかったです。
グランプリをいただけたのは、写真新世紀のコンセプトに、私の作品がちょうど合っていたという部分があったのかなとは思います。ただ、受賞作品は、あえて新しいことをしようとねらったものではないんです。ただ自分にとって関心のあることに向かっただけで、それがうまく賞とかみ合ってくれたという感じです。
公開審査会のときに、審査員の日比野克彦さんが言ってくださったことを覚えています。ここで賞を取ったからといって、新世紀の「新」の部分にこだわったり、とらわれる必要はない、と。その通りだなと、心に残っています。これから私がつくる作品も、興味の湧く方向に自然に向かっていけたらと思います。

—今回、なぜ応募をしようと決めたのでしょう。

写真新世紀に出すのは、二年連続の二回目でした。大学で写真学科に通っていたんですが、だいたい三年生くらいになったら、周りも公募展などに応募するようになりますね。友だちもみないろんな賞に出していて、それで私も挑戦してみたというところです。ただ、今回の「insider」という作品は、ぜひ写真新世紀に出したいと思っていました。受賞者による展示はここ数年いつも観に行っていて、あの会場に私のこの作品を大きく展示できたらいいなという考えが、頭のなかにはっきり浮かんだんです。

—人間の顔を左右半分ずつに分けるという作品のアイデアは、どこから生まれたのですか?

自分で撮った男の子の顔をパソコンの画面で見ていたら、表情が左右でずいぶん違うような気がしてきました。それで画像を反転してみたら、違う人みたいになった。これは面白いかもと思って、シリーズにしてみたんです。  
作品に登場しているのは、知り合いや友だちではありません。街で声をかけたりして、200人くらい撮影しました。赤ちゃんからお年寄りまで年齢もバラバラ、職業や立場もなるべく変化がつけられるようにしました。
画像を反転させたときに、より効果が上がりそうな人を選んだわけではありません。それよりも、自分が撮りたいと素直に思う人を探して、声をかけました。そういう意味では、人間の顔の不思議さといったことより先に、まずはポートレート作品なのかもしれません。
顔の表面に影が出ていると、反転した際におかしなことになってしまいます。だから、曇りの日か日陰に入るかして撮らないといけないんです。それに、真正面を向いてもらわないと、うまく反転できなくなります。技術的に注意したのは、そのあたりでしょうか。
撮影の後に画像を加工するのは、それほど手間がかかることでもありません。慣れてきたら1、2時間でできてしまいます。結局、制作にあたっていちばん大変だったことといえば、知らない人に声をかけるのに勇気がいったということになりますね。

—写真はいつから始めたのですか?

友だちに誘われて、高校の写真部に入ったのが最初です。その前から絵は好きで、よく描いていました。今も両方やるんですが、比べてみるとそれぞれ持ち味が違うものですね。写真のよさは、カメラという機械を使う点です。目の前のものを写してくれるのはカメラであって、自分の力ではないところが写真にはたくさんある。そこがおもしろいなと思っています。
写真部に誘ってくれた友だちに感謝です。これからも写真はやっていくつもりですし、できれば作品を撮り、それを発表していくことを続けていけたらうれしいです。高木こずえウェブサイト(cozuetakagi.com)を立ち上げ、作品や活動情報を掲載し始めましたので、ぜひ訪問してみてください。

—好きなアーティストを教えてください。

写真なら、南アフリカ共和国の人々を撮っているロジャー・バレン(※1)。絵ならエゴン・シーレ(※2)です。人の描き方にとても惹かれますね。

※1:ロジャー・バレン
写真家。1950年アメリカ・ニューヨーク生まれ。長く南アフリカのヨハネスブルグに住み、撮影を続ける。当地の人物をモノクロ写真に収めたポートレート作品で知られる。写真集に『Shadow Chamber』『Outland』など。

※2:エゴン・シーレ
画家。1890年、オーストリア生まれ。同時代の画家グスタフ・クリムトらと交流しながら、制作を続ける。内面まで暴き出すようなデフォルメされた人間像、自画像などを多く残した。1918年、28歳の若さで没する。

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PROFILE
高木 こずえ Cozue Takagi
1985年 長野県生まれ。
2004年 東京工芸大学芸術学部写真学科入学。
cozuetakagi.com


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