第14回 写真新世紀展2005 公開審査会開催報告
公開審査会 2005年12月7日(水)
2005年度のグランプリを選出する公開審査会を開催。会場の東京都写真美術館には審査員の方々をはじめ多数の来場者が詰めかける中、優秀賞受賞者によるプレゼンテーションと審査員各位からの質疑で、会場はあふれる熱気に包まれました。予定時間を超えるほど白熱した議論の末に、小澤亜希子氏が見事に2005年度のグランプリに決定しました。「日常生活そのものが、生きる喜びとなっている。」(荒木氏)「女性にしか撮れない、独自の視点が溢れている。」(森山氏)
小澤亜希子氏には奨励金100万円と、「写真新世紀展2006」における個展開催の権利がキヤノンより授与されました。また、佳作のポートフォリオから奨励賞3名(高橋勝一氏、梁丞佑氏、田福敏史氏)が選出され、キヤノンIXY DIGITAL 60が贈呈されました。



公募の審査にあたって
第28回 審査総評
荒木 経惟 Nobuyoshi Araki
風景、街の写真をはじめ数々の力作が揃っています。でも今こそ人間を、人間のコト、生活を撮ってほしいですね。なぜなら生活するということは生きることだから。普段の日常のコトにおいて、一番生き生きとしたところ、「今と生きる喜び」を撮らなくちゃいけないんですよ。
飯沢 耕太郎 Kotaro Iizawa
今回も点数が多い。枚数が多ければ作品として形になるような錯覚を持つが、1枚で結論を出すくらいまで考え抜いて絞り込んで欲しい。まずアイディアを練って、そこから勝負しないと自己満足で終わってしまう。人に何かを見せるということをもう一歩突き詰めて考えて、制作に取り組んでほしい。
それと、「写真新世紀」はこういう傾向だと決めてかかるような作品が多いのが気になる。審査の楽しみは、あっと驚くようなものに出会えること。逆に「らしくない」作品をもっと見てみたい。
南條 史生 Fumio Nanjo
写真とアートの境目がない、自由な発想、ポリシーを持ったコンセプチュアルな作品が増えてきたように感じる。相変わらず点数が多いが、編集能力を高め絞り込んでいくことを学んでもらいたい。装丁、デザインなどを含めて、「見せる」というプレゼンテーションが、作家として試される時代になってきている。
森山 大道 Daido Moriyama
全体的に、イマジネイティブなものをうまく構成していく力があるように感じた。
ただ10人いれば、ここにある全部の応募作品を作り上げてしまいそうな、ある種パターンナイズされた印象がある。本の作り方、撮る感覚にしても、どうしようもなく入れ込んだ、執着心をもった作品が少ない。それは日常に浸透されつくしているような写真という意味においても同じことが言える。単なる日常を見つめるのではなくいろんな要素がある中から1つ絞り込んで、その内訳みたいなものをきちんと抜き出して表現していくようなものがあるといい。一見地味で僕の好きな写真はたくさんあったけれども入選までには至らなかったのがとても残念。
ウィリアム・エグルストン William Eggleston
日本の若手写真家が制作された数々の応募作品を拝見し、たいへん光栄な機会を得ることができました。ただ、審査に十分な時間が取れず、全ての作品をじっくりと見ることができなかったのが、非常に残念でした。デジタルカメラ、フォトによる作品を多数目にしました。まさにこれからの時代、プリントの新たな可能性を感じさせるものであったと記憶します。
蜷川実花 Mika Ninagawa
私の人生を変えてもらったように、この作品群の中から誰かの人生を変えてしまうような、そんな勢いのある作品を見つけたいと思って拝見しました。
私の受賞当時は、ブックの作り方、装丁の仕方もアドバイスしたくなるようなものがたくさんあったけれども、今はみんな起用で上手ですね。いい写真って何でいいのか分からなくなります。また写真を量で勝負するのではなく、ある判断基準を持ってシビアに自分の写真を作っていって欲しいですね。そういうやり方がきっとあると思うので、セレクトする重要性を考えてもらいたい。そんなに量が必要なのか?パターン化されていて新しいものを見つけるのが難しい。これだったらこっちの方が好き、面白いなぁというように選んでいけちゃうのが残念です。
