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写真で何ができるだろう?写真でしかできないことは何だろう?What can we do through photography? What is possible only through photography?

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第4回 写真新世紀展1995 公開審査会開催報告

公開審査会 1995年12月2日(土)

イメージ

東京・四ツ谷、東長寺講堂・P3、「第4回写真新世紀展」会場にて、第11回・第12回公募優秀賞受賞者8名の中から年間グランプリを決定する公開審査会が行われました。
大勢の入場者が見守るなか、1995年度年間グランプリにHIROMIXさんが選ばれました。

公募の審査にあたって

第4回 写真新世紀展1995 公開審査会は第11回・第12回公募作品を対象としています。

第11回 審査総評

荒木 経惟 飯沢 耕太郎 南條 史生 ジャン=クロード・ルマニ- Jean-Claude Lemagny

ルマニ-

1年半ほど前に「写真新世紀」の話を聞きその後の動向を注目していました。この公募を核とするプロジェクトは非常に有意義だと思います。ぜひ続けてください。今回の審査に関しては非常にレベルの高い作品を提出した作家が30人位いました。その中でどの人を選ぶかは大変難しい選択でした。


荒木:

それぞれの応募者が頂点に近いのを出してるんじゃない。非常に粒がそろってるね。撮る時も見せ方も、自由ですごくよかった。まさに、春の気分ね。啓蟄はすぎちゃったけど、虫とかいろんなもんがでてくるぞ、ってワクワクする感じね。中でも、アタシが選んだHIROMIXは17歳、高校生だよね。自分で作りたい、何でもやっちゃいたいって気分や柔軟さが出てるよ。これからは10代がいいですよ、きっと。


南條:

僕も、HIROMIXには新鮮な感じを受けたね。今まではレベルが上がった、下がったというような言い方をしてきたけれど、今回はそういう言い方が成立しない。魅力的というか、気になる作品がたくさんあった。


飯沢:

こういう公募は、ある程度になると応募数が頭打ちになる傾向があるけど、全然減ってない。まだまだ潜在的な応募者の可能性があるということで、将来を考えると非常にいいね。荒木さんが言うように、傾向がめちゃくちゃバラバラになっているけれど、これをプラスとみるか、マイナスとみるかということに関しては、僕はとりあえず、プラスに評価したいと思います。ある一つの傾向に固まるのではなく、いろいろな傾向の作品がわーっと出てくることで、いろいろな可能性が生まれると思うな。それにしても、彼女や彼を撮ってる作品、特にヌードが多かったですね。


ルマニ-

私にとっては、きれいな日本人の女性を見れる機会があるのはうれしいですね(笑)。でも、これは東京でのひとつのブームなのではないでしょうか。例えば、パリでは2.3年前は外国人労働者を撮った作品がとても多く、今はエイズにかかった人を撮った写真が多いです。フランスでも、女性のヌードが流行ることを祈ってます(笑)。


荒木:

ルマニーさんが審査に入ってよかったのは、「光もの」ね。写真のおおもと的な魅力、「光と影の構成の美しさ」を選んでくれたからバランスがとれたよね。最近わざと、「光もの」をけってたからね。


ルマニ-

私がすばらしいと思うのは空間の中の光をテーマにしている作品です。パトリシア・ガバスさんの作品は、虚空の光を本当に見事にとらえていますね。


荒木:

ルマニーさんは、選んでるのが全部一貫してるんだよね。頑固オヤジなんだろうなー、なんちゃって(笑)。でも、アタシは、審査の時わざと一つの評価軸で選ばないようにしてるんだ。力量があるもの、見せ方がおもしろいもの、単純にアタシ好みの女が写っているものとか、いろんな審査基準があっていいと思う。いい意味で曖昧にしないと、固まっちゃうからね。そうしないと、やっぱ新世紀は見えてこないぜっ。


飯沢:

僕だって「光りもの」好きですけどね。


荒木:

俺だって、嫌いじゃないよ。もちろんね。


南條:

写真新世紀の場合、それぞれの審査員が勝手に一人を選ぶでしょう。他のコンクールみたいに合議制じゃないから、それだけ評価軸はあいまいだけれど、いろいろな人にチャンスが開かれている印象も与えていると思う。そういう点で、ある方向性ができちゃって固まってしまうコンクールとは違う、常に新鮮さを保てるんじゃないかという期待があります。


飯沢:

ただ、審査していてつらいのは、どんぐりの背比べなんだよな。4人の審査員が「こいつしかいない」って、皆が納得するだけの強いものが、まだ出てないよね。そういう人が出てくる環境をどうやってつくっていくかが今後の一番大きな課題じゃないかな。まあ、何はともあれ、3年間やってきて、過去の受賞者が個展を開いたり、いろいろなところに活動の幅が広がってきていることが一番嬉しいね。オノデラユキさんをはじめ、奥谷佳子さん、茂木綾子さん、野村浩さんは個展やグループ展を精力的にやってるし、今義典さん、千葉鉄也さんは写真だけではなく、インスタレーションで個展をしたり、大森克己さんもいろんな雑誌で活躍している。そんな人たちをいろんな形で応援していくことが必要だよね。それで、5年目の来年ぐらいにはもう一花咲かせたいね。それにしても、入賞者の割合も、入賞してからがんばっている人の割合も女性の比率が高いなぁ。


荒木:

写真はもともと男性性がなくちゃいけないんだけれど、今の時代って、男より、女性が男性性を持っているんだよね。


南條:

男の方がこうしたらどう思われるかとか、まわりの目を気にしちゃうんだよね。


荒木:

だから弱くなるっていうか、何か欠けちゃうんだよね。


飯沢:

女の子がポンと出してきた時の強さにタジタジだよね。男はここらで、本当にがんばってほしいな。フランスでは女性の割合はどうですか。


ルマニー:

以前は、尊敬している女性はたくさんいるけど、芸術に向いている女性は非常に少ないと思っていました。でも、今では創造する力は女性も、男性も同等だと思います。昨年の暮れに国立図書館で行なった107人の展覧会でも、皆さんから「女性の作家が多いね」と言われています。


飯沢:

世界的な傾向なんですね。


ルマニー:

心優しい女性のつくる作品が、男性のような力強いものであったり、また、その逆もあったり、面白いですね。


第12回 審査総評

荒木 経惟 飯沢 耕太郎 南條 史生 浅葉 克己 Katsumi Asaba

荒木:

今回元気ないんじゃない。ちょっと、深刻チックだね。気持ちが整理整頓されちゃってるんだな。


浅葉:

そうなの?写真の公募の中では大きい方でしょ?こんな広いホールに応募作品がバーッと並んでいるから驚きましたよ。


南條:

全体に作品が小ぶりになって、挑戦的、冒険的なものが減ったね。内容も個人的な世界に集中してきていると思う。それから、後ろ姿を撮ったものや暗い焼きのものが多かった。これは現在の日本の社会の雰囲気を反映しているのだろうね。「バブル後の日本の現実」という点では意味はあるけれど、そういう仕事の中でも、やはり積極的で前向きな姿勢や力強さは欲しいね。別な言い方をすると、シンの強さ、強い個性、精神力といったものが感じられる作品を評価したいな。


荒木:

野沢さんの「ははのひきだし」、これはきちんと真上から撮ってるからいいんだよね。ステキなものは、きちんとそのまま撮るといいんだよ。


南條:

お母さんの役割が、それぞれの物に現れているのがおもしろいね。でも、畳の上で撮ったり、ちゃんと細かいところにも目が行き届いていて、一貫性がある。ピーター・ベアードやアンゼルム・キーファーといい勝負だ。写真の下にどんなことがあるのかすごく気になるね。思わず、手紙とか読んでみたくなるし。


荒木:

こういう写真集あったらおもしろいな。一日中ずーっと見ちゃうね。でも、一番重要なのは母への愛ですよ。それが知らないうちにでてるでしょ。


南條:

そう、それが演歌調じゃなくて、非常に力強いんだよね。すごく今の日本が出ていて、歴史、時間、日本人の普通の生活などがたくさん見えて面白い。ひとつの時代の証明だ。入っている情報が多いから、写真を読める楽しさがある。


浅葉:

戦後50年で今年が節目の年だけど、ちょうど50年ぐらいの記録が全部これに詰まっている感じがするね。即物的に複写しただけなんだけど、時間とか空間とかいろんなことが入っていて、写真にする価値がありますね。意外とこういう写真を見たことがないですね。面白いです。写真でしかできないことですよね。人によって、ひきだしって違うから、恐いような、おもしろいような。次は父のをぜひ見たいね。シリーズにしてみたら?


荒木:

すごく考えさせられるな。一瞬乱雑な無意識のコンポジションなんだけど、その方が、一生懸命やったコンポジションより魅力的。だから、デザイナーなんていらないってことだよ。最近、インスタレーションが減ったね。写真もやっぱり紙に戻っちゃったからな。インスタレーションとしてまとめよう、ちゃんと編集しようとすると、どうしてもパワーが落ちるんだよね。気をつけないと、デザインとか編集って、平均化するからおもしろくなくなっちゃうんだよ。やっぱり、写真は被写体とのジャムセッションが1番面白くなるんじゃない?でも、A・R・T Puffみたいに、展示する時に印画紙の気持ちを捨ててみるっていうのも、いいんだよ。見る時にも1回遊ぶっていうか、違う風になってくるだろ?


浅葉:

写真は一面からしか見ないのが普通だけど、ぐるっとまわって裏までみれる、写真のなる樹はすごく楽しいですね。写真も1点1点すごくいいし。


南條:

でもちょっとわかりすぎる気がする。これは何なんだろう、という謎めいた考えさせる部分が欲しいね。


飯沢:

浅葉さんが選んだ佐内さんの作品は、ぴんと張りつめてクリアな写真。写真って一体なんだったのか、もう1回考え直す力をもっている写真だ。地味だけど力強いね。


荒木:

渋いよ。幸せの典型、不幸の典型だね。これは奥の方に何かあると求めてるね。俺は求めない。逆に相手に求められちゃうんだよ。


浅葉:

日本のなんでもない風景をきちんと三脚をすえて撮るという視点がいいと思います。


飯沢:

どこにでもありそうで、なんだか不思議な景色。こういうところを見つけるのが、変な神経してるんだよな。


荒木:

君たち歩いてないでしょう。歩かなくちゃだめだよ(笑)。柴原さんのインドのは、写真の本道いってるね。


南條:

僕も昔、インドを何度か撮って歩いたことがあるから、これは俺でも撮れるとか、張り合いたくなっちゃうな。


浅葉:

インドはなかなか写らないんだよね。これはちゃんと匂いまで写ってますね。カレーが写ってるからかな?


荒木:

写真もうまいけど、カレーもうまそうだ!


飯沢:

いろんな所に自然に入り込んで、バンバン撮ってるのが伝わってくるね。色もなんともいえない微妙なコントロールがきいていて、きれいだ。今回は、全体的に数が少なくなったこともあって、インパクトの強い写真はないけれど、地味というより、着実になってきた感じがします。これをやったら入選するだろうという明らかに審査員の好みを狙った人たちが選ばれている。それがすごくいい。4年やってきたことで、ひとつ成熟が見えてきた気がするし、かといって、若い人もどんどん入ってくるし、とてもバランスがとれていていいと思います。


荒木:

若い奴はロックやラップの感覚で、空気を撮ってきちゃうんだよな。でも最近、若さがひとつのパターンになってる。誤解しちゃいけないよ。ぶらしたり、ピントをはずせば、若さの証明だって思ったら、大間違いだよ。俺の場合は上手いけれど、下手に撮ってるんだから(笑)。まあ、若い子たちはそういう生理を持ってるんだろうね。でも、上手くなりたいっていう奴と、私は下手でいいのよって押し通しちゃうのとはっきりいって二つに別れてるね。でも、どっちにしても、やっぱり写真ってエネルギーいるんだよ。今回選ばれたのは、4つそれぞれに違ったエネルギー、写真論があっておもしろいね。


浅葉:

いい作品を選ぶことができてとても楽しかったです。公募の審査は毎週のようにやっているけれど、いいものが選べるとほんとうにうれしいね。これからは公募から活躍する人がドンドンでてきますよ。


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