インタビュー - Interviews -

ケイトリン・オズモンド選手
インタビュー

怪我と不調の2シーズンを乗り越えて
まったく新しいスケーターとして世界の舞台へ

華やかな個性を氷の上に咲かせているカナダのケイトリン・オズモンド。前々シーズンを怪我で休養し、昨シーズンも不調に苦しんだオズモンドは、今シーズン、魅力あふれる2つのプログラムを携えて国際試合で快進撃、カナダ女王にも返り咲いた。世界選手権でも注目したいオズモンドに聞いた。

GPシリーズで活躍。「ファイナルに進出できたのは最高の出来事でした」
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四大陸選手権では4位という結果でした。試合を振り返って、いかがですか。

もちろん、少しがっかりしています。自分の実力を出し切れませんでしたから。どこが悪いとはっきり言えることは見つからないけれど、でもだんだんと問題点が分かってきた気はします。良くない演技をしてしまったときのリカバリーの方法も含めて、勉強になったと思います。

今シーズンは快進撃を続けてきました。シーズンを振り返って話していただきたいのですが、国際大会を振り返ると、序盤のフィンランディア杯で優勝、その後GPシリーズの2戦で2位になりました。

フィンランディア杯では、国際大会で初めてまったくミスなくプログラムを滑り通すことができたんです。それまでクリーンな演技どころか、まともにコントロールできないような試合が続いていましたから。とても学ぶことが多かったし、シーズンが本格的に始まるのが待ちきれない思いでした。GPシリーズは本当に素晴らしかったです。これまでは運がなくて、初めてGPシリーズのメダルを手に入れたカナダ杯(2012年優勝)を除けば、本当に悪い試合ばっかりでした。だから今年は、とにかくプログラムを磨いて、クリーンで安定感のある演技をしたいと思っていました。GPシリーズ2戦で2つ銀メダルが獲れて、GPファイナルに進出できたのは最高の出来事でした。

カナダ選手権では3年ぶりの優勝を果たしましたね。(2013、2014年に2連覇)

今季のカナダ選手権のタイトルを獲ることができたのは、これまでと比べてもいっそう報われたと思える出来事だったと思います。2014-2015シーズンに怪我で1シーズン棒に振って、その次の2015-2016シーズンも氷の上で自分らしいと感じる演技ができませんでした。これまででいちばん本気を出して臨んだ試合でしたし、過去2シーズンよりずっと良い状態で滑ることができたんです。

カナダでは実力が伯仲する3人の女子選手(オズモンド、デールマン、シャルトラン)が戦っています。

素晴らしいことだと思います。私たちはこれまで数年間、お互いのことを後押ししてきたんです。国際的にもみんなまずまずの成績を収めてきています。国際的なレベルで試合ができる相手が国内にいてくれるというのは、本当に良いこと。このことが、私たちに新しいモチベーションを与えてくれています。

2つの美しいプログラムを手にして。「キャラクターの気持ちに入り込むこと、ストーリーを語ることが好き」
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今シーズンのオズモンド選手は、試合にとても冷静に、自信をもって臨んでいるように見えます。これまでとの違いはどんなことを感じていますか。

今シーズンは、スポーツ心理学者と一緒にやってきました。昨シーズンに世界選手権の代表チームに入れなかったことが、もう一度本当の意味でスケートと向き合うために必要な気づきになったんです。練習をすること、スポーツ心理学を学ぶことで、怪我をしたときに失ってしまった自信を取り戻したいと考えました。そして、今季の試合で、特にショートでクリーンな演技ができたことが、さらに大きな自信を与えてくれました。自分が氷の上にいていいんだ、という気持ちは、この2年ずっと探し続けていたものでした。ファイナルに出られることが決まって、自信が戻ってきたのを実感したんです。

自信だけではなく、表現やスケーティングの面でも変化を実感されているのでは?

そうですね、試合への取り組み方が変わったからじゃないかなと思います。順位を気にするのをやめました。それに、周囲の人たちを喜ばせようと思って滑ることも。もっと、自分が氷の上で自由に滑ること、競技を楽しむことに集中するようになりました。スケートで競い合うことは、小さいころから私がいちばん好きなことでした。調子が悪かった昨年や、怪我で休んでいた一昨年は忘れていた気持ちでした。今年は、楽しむことがいちばんのモチベーションになっていて、だからこそ結果がついてきたのだろうと思います。私はただ、滑るのが楽しい、より良いスケーターとして戻ってこられてうれしい、と思いながら滑っています。

自分の強みと、もっと進歩したい点についてはどう捉えていますか。

まず課題から。とにかく安定感を向上させるための練習をしなくてはいけません。とくにフリーで、7つのトリプルジャンプを安定して決められるようになりたい。今季はずっとそれが実現できていたのですが、四大陸では3回も転んでしまいました。安定感は本当に大事だと思っています。それから私の強みは……氷上でポジティブに、すべてを出し切ることができる点かな? 振付に集中して、演技構成点をできる限り取れるようにがんばっています。小さなディテールまで完璧に仕上げて、それによってエッジの立った、プログラムが描くドラマにふさわしい表現がしたいです。

今季のジェフリー・バトル振付のフリー『ラ・ボエーム』は、そういった面で助けになっているのではないですか。

ジェフリーは本当に才能あふれるコリオグラファーで、一緒にできて良かったです。フリーはこれまで滑ったことがないようなプログラム。でも、こういうキャラクターを演じてみたいと思っていました。ジェフはとても優雅で音楽的なコリオグラファーで、そういう部分を私は感じ取りたかったんです。自分ではできるなんて思ってもみなかったような動き方を教えてくれましたし、スケーティングスタイルを柔らかくしてくれました。試合ではエレガントに滑るということに集中しています。

プログラムのどんなところがいちばん気に入っていますか。

私はキャラクターの気持ちに入り込むこと、ストーリーを語ることが好きなんです。氷上に物語を描き出したいと思って滑っています。『ラ・ボエーム』はラブストーリー。主人公の女性が恋に落ち、最後に恋人のもとで悲劇的な死を迎えます。物語に入り込んで、観客のみなさんと結びつきたい、エモーショナルな面を描きたいと思っています。そうすることで、もっと良いスケートを見せることができると感じるんです。

ショートは正反対の雰囲気のプログラムです。

コントラストをつけるのが好きなんです。ショートで演じているキャラクターがとても気に入っていて、たぶんショートの調子が良いのはそのおかげだと思います。自信たっぷりで強い女性が、ありのままの自分として人生のすべてを楽しんでいる姿を描いています。ああいう自信のあるキャラクターを演じることが、私自身にも自信を与えてくれるんです。セレブの楽しさを味わわせてくれるし、それが観客のみなさんにも伝わっていくのを感じます。そうすると、私にもパワーがもらえるんです。

曲はエディット・ピアフの力強いシャンソンですが、どうやって選曲を?

じつは、去年のちょうど四大陸選手権の会場で、曲が決まったんです。カナダのチームメート、パイパー・ギレス(アイスダンス選手)と一緒にいたとき、パイパーが音楽を聴いていて、「ねえ、この曲あなたに合うと思うわ」と聴かせてくれて。それで、選曲の候補リストに加えたんですけれど、最終的にこの曲がトップにきたんです。

振付は、オズモンド選手の振付を長年手がけているランス・ヴァイポンですね。

10歳のころから振付けてもらっているんです。だからもう、11年になるかしら? 3年前までは彼のプログラムだけを滑っていたので、もう何曲一緒にやったか数えきれないくらいですね。ランスとの振付はコラボレーションで、私が作る動きも取り入れてもらうんです。だからとても踊りやすいし、楽に滑れます。一方では、彼は普通の人とは違う独特のものの見方をします。そういうふうに物語を作り上げているんです。

ジャンプの強みをさらに磨く。「ジャンプが大きすぎるので、コントロールが大変です」
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カナダのニューファンドランドの出身ですが、8歳でモントリオールに移られたんですね。

姉のナターシャがペアの選手だったので、私が8歳のときに、姉と一緒にモントリオールのリンクに行くことになったんです。姉のパートナーがモントリオールを拠点にしていたからですが、その時期に私は初めてカナダ選手権に出ることになりました。でも、両親はそのころアルバータ州に住んでいたので、姉と私は家族から離れていたんです。それで、10歳のときに、アルバータ州のエドモントンに移ることになりました。家族がばらばらなのはとても辛かったので、エドモントンで家族一緒に暮らせるようになってからはとても幸せでした。

コーチのラビ・ワリアさんについて教えていただけますか。

ラビは素晴らしいコーチです。彼から11年間教えてもらっていますが、私のことを信じ続けてくれているんです。私はすごく元気でいつもはじけている性格なんですが、ラビは落ち着いて冷静な人なので、とても良いコンビです。試合で私が興奮していても、ラビが落ち着かせてくれる。練習に飽きないで取り組む方法や、質の高い練習方法をいつも考えてくれます。彼は技術面に秀でたコーチで、テクニカル・スペシャリストでもあります。私はジャンプが大きすぎるせいで、ちゃんとコントロールするのが大変なんです。ラビが私のジャンプをどうにか形にしてくれているのだと思います。私が怪我で氷を離れていた間も、私のことを励まし続けて、戻ってこられるか分からない不安な気持ちを晴らしてくれました。

来シーズンのプログラムについては?元気ではじけた性格なんですね?

そうなの。(笑)すぐ興奮してしまうので、ミスも増えてしまう。ラビが落ち着かせてくれてやっと、自分の足で立っている感覚がつかめるんです。とくに小さいころは、試合になると練習より3倍くらい大きいジャンプを跳んでしまって、転んだり、回転しすぎたり、失敗ばかりでした。(笑)トウピックをひっかけてスケーティングが止まってしまうことも多かった。私は氷の上に立つと、もうわくわくしてしまって、やらなきゃいけないことを忘れてしまうような子だったんです。

ジャンプを跳ぶとき、とても思いきりが良いですものね。

ここ数年は、ジャンプを小さくまとめることに努力してきたんですよ!子どものころみたいに思いっきり跳ぶのは、ダブルジャンプなら良いですが、トリプルではうまくいきません。もっとしっかり体を締めて、コンパクトに、効率的に回転しなくてはいけない。じつは怪我をしている間に、シングルからジャンプを練習し直して、技術を学び直しました。それが今とても役に立っています。

ヘルシンキ世界選手権、そして平昌五輪へ。「目の前に迫った五輪に、絶対出場したい」
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次の試合は世界選手権です。抱負は?

2014年に出場して以来の世界選手権なんです。とっても興奮しています!今年の目標は世界選手権に出ることでした。もう、そこでどんな演技をするかなんて頭から抜けていたくらいです。こうして出場できることになって、今から楽しみでたまりません。シーズン全部を戦うことができるのは今シーズンが初めて。2つのプログラムをクリーンに滑って、トップで戦うことができるということをみなさんにお見せしたいです。

今回の四大陸選手権は、平昌五輪の会場で行われました。このリンクで滑って、五輪への思いは?

五輪では、今回の演技よりもずっと良い演技がしたいです。会場は素晴らしいですし、アリーナの周りを散歩するだけでも、わくわくする気持ちが湧き上がってきます。この場所で滑ることは楽しくて気持ちの良いことなんだ、という確信を持つことができました。

五輪に対する気持ちは、小さいころと現在とで変わりましたか。

じつは、子どものころは五輪がどんな大会か、知らなかったんです。テレビで見たこともないし、聞いたこともありませんでした。スケートをしていたのは氷の上で滑るのが楽しいからで、試合のこともよく分かっていなかった。試合というものがある、カナダ選手権という大きい大会がある、と知っていって、10歳か11歳になって、やっとカナダの国外にもっと大きい試合があると分かった。だから、五輪に行きたいと夢見たことが、私にはありません。我が家では姉がトップスケーターで、私は2番目でしたし、五輪に行くなんて考えてもみなかった。ソチ五輪の直前の2013年に、五輪に出られるかもしれないということになり、そこでものすごく驚いたんです。たぶん、そういう状態でソチに行ったのは良いことだったんだろうなと思います。周りが緊張するなかで、私はとても普通だった。人生をかけて努力してきた目標というわけではなかったですからね。でも、今回の平昌五輪は少し違うと思います。ソチで五輪がどんなに素晴らしい舞台かわかりましたし、夏のリオ五輪を見ていてもわくわくしました。いま、五輪が目前にきていますけれど、絶対に出場したいと強く願っています。

2017年2月、四大陸選手権にて取材

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