インタビュー - Interviews -

エフゲニア・メドベデワ選手
インタビュー

世界最高記録を更新し、世界選手権2連覇
「できるだけ長く競技生活を続けたい」

233.41点という驚異的なスコアで世界女王の座を守ったエフゲニア・メドベデワ(ロシア)。今季は全戦全勝、圧倒的な強さで女子フィギュア界をリードしている17歳が、シーズン最大の試合を終え、リラックスした表情でインタビューに答えた。

男子シングルのフリーを観戦「あんな気持ちは味わったことがありません」
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勝利から一夜明けていかがですか?

昨日は自分の演技をビデオで見直しました。気になったのは、もっと伸ばせるところ、もっと良くできるところ、変えた方が良いところなどです。おもにそれだけを見ています。

女子のフリーの試合では、同じロシアのアンナ・ポゴリラヤ選手が、予想外の結果になりました。あなたはいつも耳を塞いで他の選手の点数を聞かないようにしていますが、何かが起こったということは感じたのではないでしょうか。

私が耳を塞いでいるのは、形だけのような感じです。周りで何が起こっていても私は気になりません。演技の前に、リンクから歓声が聞こえてこようと、静かであろうと、ショートの前だろうとフリーの前だろうと、まったく気になりません。昨日のリンクで起きたことも、どうしてそういう状況になっているのかわかりませんでした。喜びなのか、悲しみなのか、わかりませんでした。でも、それは自分の演技にはまったく影響ありませんでした。自分自身に集中しなければいけませんし、それが一番大事だと思います。

男子シングルの試合は、いかがでしたか? 1位から4位までの選手が300点を超える激戦でした。

あんな気持ちは今まで一度も味わったことがありません! あれはもう、何でしょうね? 緊張感を全部、男子フリーの客席に置いてきた感じでした。あのような試合を見たのは人生で初めてです。

誰を応援していたのですか? 羽生結弦選手?

(小さな声で)はい。

オフアイスで羽生選手と交流はありますか? よく一緒に写っている写真を見かけますが。

私たち選手同士、みんなお互いに交流しています。ある選手とは絶対に交流しないとか、誰かと特別に仲が良いとか、そういうことはないです。それぞれいろいろな国から来ているから、交流して、お互いのことをより良く知ったりすることを、みんな楽しんでいます。

世界女王のオフアイスの過ごし方「最高の楽しみはソファに寝転んで天井を見上げること」
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試合後にリラックスできる休日はありますか? 試合後の練習は、普段の練習スケジュールと違いはありますか?

普段、試合が終わって帰国してから数日は、リンクに出てもプログラムを通しで滑ったりはしません。最初の2〜3日はそんな感じで、そのあとはいつものスケジュールに戻します。

オフアイスで、少し時間がある時などは何をしていますか? スポーツ以外で何か楽しむようなことは?

ソファに寝転んで天井を見上げることが最高の楽しみです。精神的にも肉体的にも回復させることが大事ですから。私は大人数でワイワイする集まりや大きなパーティーなどは好きではないんです。どちらかというと、家で1人ブランケットにくるまって映画を見るのが好きです。

もう少し長期の休みが取れる時は、何をしますか?

シーズンとシーズンの間に、わりと長めの休暇があって、その時は海に行ってリフレッシュします。その期間はスケートをしません。大体2週間から20日間くらいです。

どこの海が好きですか?

どこの海でも!

ソチの海でも?

そうですね。アナパ(黒海沿岸の都市)でも良いですね。(笑)

休暇の行き先は自分たちで決めるのですか? 最近、休暇で訪れた国は?

どこに行くかは自分たちで決めます。私は新しい場所に行くのが好きです。前回の夏休みにはベトナムへ行ったのですが、私はタイの方が好きですね!

次の休暇はもう予定を立てましたか? それともまだ早い?

まだ早いですね。もう1つ試合(4月の世界国別対抗戦)がありますから。

モスクワの体育大学に進学予定「将来は自分のやりたいと思う分野を勉強したい」
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スポーツウェアのことについて聞きたいのですが、自分でウェアのデザインをしたそうですね?

そうなんです。以前はそういう趣味もあって、衣装のデザインを考えたりしていました。振付師のアレクセイ・ジェレーズニコフが自分のアトリエを持っていて、商標登録してあるブランドロゴがあるんです。そこで彼とコラボレーションして、一緒にスポーツウェアのコレクション・ラインを作り、販売しています。

つまり、トレーニングしながら、自分のウェアのデザイナーでもあったわけですね。

そうです。
実を言うと、私は黒のウェアで滑るのが一番好きなんです。だからいつも練習では黒を着て滑っています。その方が氷の上でより見栄えが良いと思うし、コントラストがはっきりして体のラインを確認しやすいですから。個人的には、衣装は七分袖で肩が半分開いたものが好きです。きっとみなさんもうお気づきだと思いますが。

それから、練習の時はスケート靴を長いレッグウォーマーで隠すんですよね。

そうです。レッグウォーマーにスカート、七分袖、これがお気に入りです。手袋は指先まで全部隠れるタイプのものではなくて、いつも指の部分が出ているものを使っています。

ところで、どこの大学へ進学する予定ですか?

ロシア国立体育・スポーツ・青少年・観光大学に願書を出すつもりです。

ファッションに興味があるのに、どうして進学先は体育大学を選んだのですか?

まずは自分の専門分野を勉強して、そのあと自分がやりたいと思う分野を勉強しようと思います。

身長が伸びるのがちょうどシーズンとシーズンの間の夏だそうですね。多くの選手がシーズン中に成長期の問題を抱えるのですが、あなたにはそれがありません。

もともとそういう体質なんだと思います、たぶん。(笑)

身長が伸びて衣装を変えなくてはいけなかったということはありましたか?

ないです。シーズン中はいつも同じ衣装を着ています。

シーズン中は衣装デザインも変えませんよね?

衣装は着替えますけど。(笑)シーズン中に衣装デザインを変える選手はあまりいないのでは?

「私は注目されることが好き。それで緊張することはありません」
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ここ2年で、あなたの名前がロシアをはじめ、世界中のメディアで取り上げられるようになりました。そのことがプレッシャーになったり、コントロールが難しいと感じることはありませんか?

いつも質問されるのですが、私自身は大きなプレッシャーは感じていません。私は注目されることが好きですし、それで緊張することはありません。リンクの上でたくさんの人に見られていることが好きです。リンクに出ると、数千人、数十万人の人たちに見られていることを感じます。でもそれを重荷に感じることはまったくありません。反対に満足感を得ています。私にとって大事なのは、家族や親しい人たちが、私に対する態度を変えないことです。私が子どもの頃から知っている彼らのままでいてくれることです。

何かあった時に、すぐに知らせたり、アドバイスを求めたりする人は誰ですか? 親とか友人とか?

母と祖母にはなんでも話しますね。2人はいつも私が何か悩んでいたりするとすぐに分かるようで、どうしたの?と声をかけてくれるので、私も打ち明けます。

お気に入りの日本のアニメ よく描かれているスケーターの「競争心」

日本のアニメ「ユーリ!!! on ICE」がお好きだと聞きました。このアニメのどこが好きですか?吹替に出演の依頼などはありませんか?

いいえ、何の依頼もありません。一番気に入ったのは、GPファイナル編です。(会場の)外観だけでなく、内部も、ホテルの部屋も、控え室や廊下、リンクもすべて、そっくりに描かれていたからです。ホテルのロビーや、エレベーターもまったく同じで、本当にびっくりしました。まるでもう一度バルセロナに戻った気がしました。とても気に入りました。嬉しかったです。

ホディンカ(グランプリシリーズのロシア大会の会場「スポーツ宮殿“メガスポルト”」のこと。)も登場します。

そうですね、ホディンカもたくさんディテールが描かれていました。

フィギュアスケートの世界から見ると、このアニメはどうですか?

もちろんところどころかなり大げさな部分もありますけど、でも伝えたいことはとても正確に伝わっていると思います。とくに、「競争心」ですね。でも私たちは、リンクに出ながらお互いに目を合わせたり、「行けー!」と叫んだり、「よし、君がそうするなら、ぼくはこうする!」と言ったり、試合中に今まで一度もやったことのないエレメンツをやったりしませんし、そういうのは見たこともありません。(笑)

好きなアニメのファンや、ロシアや日本のフィギュアスケートファンの人たちと交流する時間はありますか?

実は最近SNSにあまり興味がなくなってきたんです。インスタグラムにも2月ごろから何もアップしていません。もう1ヶ月半以上になると思います。そういうことは今まで一度もなかったんですけど、でも良いことだと思っています。家族や趣味のための時間が増えましたから。

それは偶然そうなったんですか?

自然にそうなりました。SNSをしようという気が起こらなくなりました。

たくさんプレゼントをもらっていますが、最近、何か珍しいプレゼントはありましたか?

一番珍しいプレゼントは、ロシア選手権でもらいました。ショートを滑り終わった時に、客席から箱が渡されて、その中には「ユーリ!!! on ICE」のキャラクターの人形が2つ入っていました。それはシュガーペーストで作られていて、その女性はトータルで28時間かけて作ってくださったそうです。これが、私がもらった中で一番珍しいプレゼントです。

今の人生に満足「私には大好きなフィギュアスケートがある」
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今後のキャリアがどうなろうとも、選手生活を長く続けていこうと思っていますか?

私はできるだけ長く競技生活を続けたいと思っています。フィギュアスケートが好きですから。フィギュアスケート無しの生活は考えられません。

ペアのドイツ代表アリオナ・サフチェンコ選手のような例もありますしね。以前のパートナー(ロビン・ゾルコーヴィ)と世界タイトルを5回獲得していますが、昨季から新しいパートナー(ブリュノ・マッソ)と共に競技に参加しています。いつまでも競技スポーツへの情熱を失っていません。

そうですね、本当に大きな尊敬に値する方だと思います。私の選手生活もそうなれば良いなと思います。

多くの人があなたの成功を知って、スターの人生を羨む人もいると思いますが、あなたは誰かを羨ましいと思うことはありますか? たとえば、あなたと同世代の人たちにはできても、時間がなくてあなたにはできないこともあると思うのですが。

いいえ、そういうことはありません。私は今の人生で良かったと思っています。残念に思うことは何もありません。今の生活で十分足りています。趣味もあるし、自由な時間も少しあるし、いつもそばにいてくれる家族や親しい友人がいます。そしてすでに趣味になっている、大好きなフィギュアスケートがありますから。欲しいものは全部揃っています。

あなたはまだ十分若いですが、小さい時に憧れていたフィギュアスケーターはいますか? テレビで見たスケーターとか。

テレビで初めて見たのはエフゲニー・プルシェンコ選手でした。あれはオリンピックだったのを覚えています。あの時が初めてテレビでフィギュアスケートを見た時だったと思います。

それを見て、何か感動しましたか?

覚えているのは、ただテレビの前に座ってフィギュアスケートを見ていたことだけです。

とても象徴的ですが、2017年3月31日にプルシェンコ選手が競技からの引退を発表しました。そのことについてどう思いますか?

ジェーニャ(エフゲニーの愛称)はロシアと世界のフィギュアスケートのために多くのことを成し遂げてきました。どんな人にも活躍の舞台を変えなければいけない時がきます。私にも遅かれ早かれ、いずれその時が来るでしょう。それは悪いことじゃないと思います。

最後に、たくさんのファンに向けて、次は何で驚かせてくれるか、メッセージをお願いします。

何でみなさんを驚かせるか、秘密は明かさないことにします。みなさんには、いつも応援してくださってありがとうございますと伝えたいです。みなさんの応援が前に進む力になっています。

2017年4月、世界選手権にて取材

エフゲニア・メドベデワ選手の
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