インタビュー - Interviews -

樋口 新葉選手
インタビュー

シニア1年目を駆け抜けた16歳
「来季は驚いてもらえるようなプログラムを」

世界ジュニア選手権の2つのメダルを携え、今季、シニアデビューした樋口新葉。GPシリーズに初参戦したフランス杯でいきなり表彰台に乗り、全日本選手権では2年連続の2位に入った。初めての世界選手権を終えたばかりの16歳が、シニア1年目で感じたこと、今後への思いを語ってくれた。

経験を活かせた世界選手権 「滑り切れてすっきりしています」
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初めての世界選手権を終えて、今はどんな気持ちですか。

ショートもフリーも含めて、悪いところも、良いところもあったと思うんですが、今は、とにかく滑り切れてすごくすっきりしています。

シニアの1年目でしたが、実際に戦ってみていかがでしたか。

この世界選手権の前にGPシリーズなどの大きな大会に出させてもらったので、それがすごく良いように自分に返ってきて、この世界選手権で活かせたかなと思います。

GPシリーズ初戦で表彰台に乗り、全日本選手権では2年連続2位でした。その一方で、四大陸選手権で悔しい思いもされたと思います。シーズン中のアップダウンについて、ご自分ではどのように感じていましたか。

波がありすぎて、自分でもコントロールできなくなってしまいました。去年までは波をまだカバーできていたと思うんですが、今年からはシニアに上がって、波があると点数も出なくなってきていたので、とにかく来年に向けて、いつも同じ演技ができるようにしたいと思いました。あとは、四大陸ではうまくいかなかったんですが、その経験がすごく活きて、全部一からやり直したような感じなので、そこもすごく良かったのかなと思います。

四大陸選手権から世界選手権までの間が、とても充実した時間だったんですね。

はい、そうですね。四大陸が終わってから、本当に全部のことを見直して、失敗の無いような練習をしてきました。いつも試合に出るようなつもりで練習をしていたので、それがすごく良かったと思います。今までは練習の成果がそのまま試合に出ていただけで、うまくいったり、うまくいかなかったり。それが波だと思うんですけど。それが四大陸で全部悪いように返ってきて、すごく反省もしたし、練習の仕方もだいぶ変えて、自分の中で本当に良い練習ができていたと思います。

先生方や周りの方たちはどのように受け止めてくれましたか。

家族も、先生もみんな協力してくれました。体のケアをしてくれる方も、みんな応援してくれて。四大陸から帰ってきてすぐに(練習の見直しが)始まったんですけど、練習を始めたときは全然わからなかったんです。でも試合が近づくにつれて、自分の調子が良くなってくるのもあって、すごくありがたいなと感じていました。

シーズンを通して、ご自身の中の変化というのは感じていますか。

いろんな試合で、いろんな気持ちで試合に出てきたので……。“今シーズン”というのは1回しかないので、その1回きりのプログラムでいかに自分を表現できるかというのをすごく考えました。

シニア2年目へ向けて 「自分の良さであるスピードを大事に」
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最近は表現面にも力を入れてこられたと思いますが、プログラムを滑るときはどのように演じていますか。

一番は、気持ちがすごく大切だと思っています。その曲の物語の登場人物に合わせて、自分の気持ちを作ったりするのが難しかったんですけど、少しできるようになってきたかなと思います。でも表現を磨いたことで、逆に、自分の良さであるスピードとか、そういう部分が目立たなくなってきていたので、来季はもっと自分にあったプログラムを作ってもらって、驚いてもらえるようなプログラムにしたいなと思いました。

新しいプログラムの制作はこれからですか。

まだ決まってないです。ジュニア1年目はすごく驚いてもらえたと思うんですけど、それが、2年目や今年は全然なかったので、「これが私の滑り」というのをもっと出せるようにしたいです。

私の滑り、というと?

ガーっといくようなスピード感がすごく良かったところかな、と思うんですが、今季、昨季はジャンプとか、ステップ、表現にこだわりすぎて疎かになっていたと思う。もっとスケーティングを磨いて、表現もしつつスピードも出るようなプログラムにしたいなと思います。

樋口選手のスピード感はどこからくるんでしょうか。陸上で走るのも速いですか。

走るのは速いと思います。

陸上で跳んだりするのも?

得意だと思います。

運動能力が高いんですね。

はい、ありがとうございます。(笑)

小さいころからですか。

そうだと思います。でも球技はできないんですけど。(笑)

バレエのレッスンもされているそうですが、どのあたりに役立っていると感じますか。

柔軟性とかはもちろんなんですが、肩の力を抜くというか、ジャンプの時に力が入りすぎてしまうことが少なくなったというのと、やっぱり指先まで神経をとがらせるというところです。バレエでは5分ぐらいずっと同じポーズで保っていないといけなかったりするので、それが柔らかく表現するという面ですごく生きているかなと思います。

バレエを取り入れようと思ったのは、先生のアドバイスですか。

小さい時からバレエは習っていましたが、もっとスケートとつながるようなバレエだったりとか、自分でバレエを見に行って研究したりというのは最近で、去年あたりからするようになりました。バレエを見に行くと、その日の練習から、こうしてみたらもっときれいに見えるというのが自分の中でなんとなく想像がついたり、踊っている人のオーラを感じたりできるのがいいなと思います。

オーラはスケーターにとっても大事な要素ですね。

憶測なんですけど、バレリーナの方や、すごくオーラがある人っていうのは、自信があったり、自分が一番すごいと思いながら演技をしていると思います。自分は練習でもできないことを試合でやろうとしたり、そういうことが多かったので、いつも自信を持って試合に臨めるように練習からしっかりやろうと。あとはもっと自分の気持ちを出せるようにしたいです。

フィギュアスケートは人に見せるスポーツですからね。

シニアの試合に出て、いろんなトップレベルの選手の演技を見て、伝えようとしているのが伝わってくる選手がたくさんいたので、それをすごく学べたシーズンでした。自分ももっと遠くの人まで伝わるような演技がしたいです。

2人の振付師から学んで 「後悔のないように」
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今回の世界選手権の経験を、来季はどのように活かしていきたいですか。

今回、四大陸の時よりもプレッシャーがなかったので、すごく楽にショートを滑れたんです。ショートの順位や点数は自分の中で思っていたよりは良くなかったんですけど、ミスがなくできたというのがすごく良かったので、それが逆にフリーで、自分に対してのプレッシャーになったり、「しっかりフリーをやらないと」と思いすぎてしまったかなと思う。ショートもフリーも1つ1つのプログラムと考えて、毎回滑れたらいいなと思いました。

『ラ・カリファ』と『シェヘラザード」は、今季いっぱいで終わりですか。

はい。毎年思うんですが、もう1回滑りたいなと思っていました。たぶんそれが後悔だと思うんですけど。後悔のないように来季は滑りたい。でも今回のショートとフリーの演技は、今の自分のできることを出し切ったと思うので、それはすごく良かったかなと思います。

振付師の先生を変える予定はありますか。

いえ、変わらないと思います。今回はショートがシェイリーン・ボーン、フリーがマッシモ・スカリでした。

その2人と振付を作っていく中で、どんなことを学びましたか。

ショートでは本当に気持ちを出すような感じで、全部の動きがつながるようにということを教えてもらって、フリーではとにかく柔らかく表現できるようにと教えてもらいました。

コーチと歩んできた12年 「すごく信頼しています」
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フィギュアスケートとの出会いを教えていただけますか。

上に兄・姉がいる末っ子なのですが、母が次に生まれる子にはスケートをやらせたいと思っていたらしくて、3歳のときに初めて滑りました。最初に滑ったころのことは覚えていなくて、気づいたら滑っているような感じでした。そこから、最初に習った先生が岡島功治先生です。

樋口選手が小さい時から、こうして世界選手権の代表になるまで、先生はずっと見てこられたんですね。

最初からずっとなんです。まだまだ(先生のこと)全然わからない部分もたくさんあるんですけど、すごく信頼していて、良い先生だと思います。本当に靴を履いて、よちよち歩きぐらい、ジャンプが1回転も跳べないぐらいから見てもらっています。最初はスケーティングの練習からでした。でもけっこう早かったです、今まで。

3歳からだと12年、13年くらいですか?

12年です。

佐藤紀子先生(アイスダンス出身のコーチ)とはいつごろから一緒に練習しているんですか。

紀子先生は小5ぐらいから見てもらっています。本当に今の自分のスケーティングは紀子先生のおかげだと思っているので、すごく感謝しています。

アイスダンサーの方のスケーティングは違いますか。

全然違います。エッジの乗り方や、カーブも全然自分が思っているのと違うのですごく難しいんですけど、それをやるとすごくプログラムに活きると思います。

今回の世界選手権は、ジャンプだけではなく、スケーティングの美しさもより要求される試合だったと思います。

やっぱりすべての面で完璧な人がトップにいると思うので、いま自分に何が足りないのかというのをもっと追究していく必要があると思います。

エフゲニア・メドベデワ(ロシア)選手と仲が良いそうで、今回もヘルシンキで一緒にお出かけされたとか。メドベデワ選手はどんな人ですか。

はい、行きました。普通の人です。日本での私の友だちと同じような感じで、思っていることが一緒だったりとか、考えていることが同じだなと思います。

コミュニケーションは英語とロシア語ですか。

はい、ロシア語もがんばっています。とりあえずは英語です。

ロシア語もできたら楽しそうですね。

でも発音の仕方が難しいです。

夢は五輪メダル 「全日本でしっかり成績を残して、平昌に行きたい」
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では最後に、フィギュアスケートで叶えたい夢を教えてください。

現役では五輪でメダルを獲ることが一番の目標です。まず、来年、平昌五輪がありますが、それまでに全日本選手権があるので、今まで以上に努力して、そこでしっかり成績を残して、平昌に行けるようにして。五輪に出れたら、最終グループに残ることっていうのがまず第1段階なので、そこにたどり着けるようにしたいなと思っています。スケーターとしての夢は、見ている人に自分の気持ちが全部伝わるようなスケーターになりたいです。

平昌もありますし、次の北京五輪もあります。楽しみですね。

はい、ありがとうございます。

2017年4月、世界選手権にて取材

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