インタビュー - Interviews -

金博洋選手
インタビュー

シニア2年目の壁を超えた中国の若きエース
「今年の銅メダルは、本当の銅メダル」

ショートとフリー、ミスのない2つの演技で、2017年世界選手権で2年連続銅メダルを獲得した金博洋選手(中国)。昨季「4回転ルッツ+3回転トウループ」を武器に世界のトップクラスに急成長。シニア2年目に味わった思いと来季への思いを聞いた。

自身初の300点超えを達成 「スコアよりも演技そのものに満足」
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世界選手権の銅メダル、おめでとうございます。

ありがとうございます。

昨季に続いて2年連続の世界選手権銅メダルですが、前回と今回のメダルを比べると、どんな違いがありますか。

昨年と比べると、今年の銅メダルは、本当の銅メダルだと思います。昨年の世界選手権では、他の選手が失敗してしまったことで、僕は幸運にも銅メダルを手にすることができました。でも今年は、本当に自分の実力で、そして自分の納得のいく良いパフォーマンスができました。だから、本当の銅メダルだと思います。今季を振り返ると、最初はそれほど順調ではありませんでした。自分で一生懸命に調整してここまで来ることができました。自分自身に、「よくがんばったね」と声をかけてあげたい気分です。

シーズン前半にあまり良い結果が残せなかったのは、何が原因だったのですか。

調子が良くなかった理由として、まず1つは、試合までの準備期間が短くて、忙しい中で万全の準備ができなかったことです。それからもう1つは、身長がちょっとずつ伸びていて、自分の成長に体や感覚が慣れていないということがありました。そして、身長が伸びたことで、試合前に靴を新しく替えることになったのですが、その靴に慣れるのにも時間がかかりました。それで今季の最初は、あまり良いパフォーマンスができませんでした。今はもうシーズンの終わりなので、そういったことにももう慣れました。

うまく対処できるようになって良かったですね。303.58点という点数については? 初めての300点超えです。

スコアとしては、自己ベストですが、今回はスコアよりも自分の演技自体に一番満足しています。エレメンツ1つ1つに挑戦して、1つ1つを完成させて、最後まで頑張って滑り切ることができました。そのことに一番満足しています。

代表作になったショートプログラム『スパイダーマン』 ローリー・ニコルとの出会い
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ショートとフリー、2つともミスのない素晴らしい演技でした。今年は初めて振付家のローリー・ニコルさんのプログラムを滑りましたが、ショートの『スパイダーマン』は、金選手に良く似合うユニークなプログラムですね。

『スパイダーマン』は、今までのショートの中で、一番好きなプログラムです。クラシックなものではなくて、とても僕自身に合った振付ができたと思います。僕の代表作といって良い。僕がこのプログラムを演じている時の観客のみなさんのリアクションも熱狂的で、演じているものがちゃんと伝っているんだなという気持ちになりました。そのことが、滑っていても、とても気持ちが良いんですよ。

フリーは、ニーノ・ロータの『道』ですが、こちらも魅力的なプログラムですね。ショートとフリーでは、違った顔を見ることができます。

『道』も、僕としては大好きです。このプログラムには、最終的に、激しさや嬉しさ、楽しさなど、いろいろな気持ちが込められました。演じる自分の表情にも、いろんな変化があったので、こういう難しい、有名な音楽のプログラムを表現することができて、嬉しいなと思っています。

振付師のローリー・ニコルさんの印象は?

ローリーさんは、選手一人ひとりにぴったりの振付をしてくれるところが素晴らしいと思います。初めて会った時、ローリーさんから「普段は、テレビで見るのとちょっと違うキャラクターなのね」と言われました。今季の最初の頃は、じつは『道』の中のテンポの速い振付がちょっと苦手だったんです。そのパートは、ローリーが僕の中の外向的というか、明るい部分を見つけてくれて、それをプログラムで表現できるように、と振り付けてくれたんです。ローリーさんと出会えて、僕もスケーティングそのものがもっと楽しくなりました。

来季もローリー・ニコルさんの振付ですか?

はい。

どんなプログラムができあがるのか楽しみですね。

今はまだ何の曲を滑るかは決まっていないんですが、いろいろなジャンルの曲に挑戦したいと思っています。そういう曲が表現できて、大きな大会で優勝できるような強い選手になりたいです。

ハイレベルな4回転時代のきっかけとなった誇り。来季は4回転ループに再挑戦
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金選手は、昨季フリーで4回転ジャンプを4本跳んだ初めての選手です。あなたの挑戦をきっかけに、他の選手も多種類複数の4回転をプログラムに取り入れる動きが加速しました。きっかけを作ったご本人としては、どんな思いがありますか。

僕の先生(コーチの許兆暁)がすごかったんだと思います。先生のおかげで、不可能に思えることでも、挑戦できるんだという自信がつきました。今の4回転時代のきっかけになることができたことを誇りに思っています。もっと強い選手になって、中国を代表するスケーターになりたいと思います。

新しい4回転はどうですか。

今季は4回転ループに挑戦しましたが、2月の四大陸選手権の時はあまり完成度が高くなかったと思います。練習では降りているんですけど、本番ではうまくいきませんでした。今年に入ってから、四大陸選手権と世界選手権の前後に、冬季アジア杯をはじめ、いろんな試合があって、今は体力的に疲れているので、4回転ループの練習はいったんやめています。でもシーズンが終わったら、また再挑戦したいなと思います。

故郷ハルビンが練習拠点。集中して氷上練習
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中国代表チームの選手たちの多くは、北京で練習していますが、金博洋選手の練習拠点はハルビンです。ハルビンで練習するメリットは?

僕はハルビンの出身なので、家族や友だちと一緒にいられるし、気持ち的にとてもリラックスできていると思います。北京では、代表チームは基本みんな寮に入っていますから。もちろんトレーニング環境としては、北京のほうが絶対的に良いんですけど、僕はハルビンのほうが好きなんです。ハルビンでの氷上練習の時間はあまり多くはなくて、1日1時間半くらい。でも練習の質は良いと思います。練習は体力的にはハードだけど、怪我をしないように気をつけているし、ハルビンで一緒に練習する仲間は、子どもの頃からずっと一緒にいるメンバーだから、毎日結構わいわい楽しくやっています。

同じリンクに同じくらいのレベルの選手はいますか。

うーん……。(笑)

では、比較的自由に練習ができる環境?

そうですね。

今季の経験は来季につながる 「五輪でパーフェクトなプログラムを」
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ところで、金選手の運動能力の高さは、陸上選手だったご両親ゆずりだそうですが、陸上競技のほうを勧められなかったのですか。

母も父も元陸上の選手ですが、陸上競技をやれと言われたことはないです。両親は、元々僕をスポーツ選手にさせる気はありませんでした。子どもの頃、僕はすごく元気でやんちゃな子どもで、学校でも落ち着きがなかったんです。(笑)一度ハルビンのリンクでフィギュアスケートの試合を見に行ったことがあって、それをきっかけにフィギュアスケートに夢中になってしまいました。それで、両親も僕にフィギュアスケートをやらせてくれることになったんです。

来年は平昌五輪が行われるシーズンですが、今季を振り返っての感想と来季に向けての抱負を教えてください。

2016-2017シーズンの始まりは、先ほどお話したようにいろいろ問題を抱えていて、GPシリーズの初戦アメリカ杯で、僕は5位でした。僕には、その結果はとんでもなくショックだったんです。でも今季、いろいろあったからこそ成長できた。そこが自分としてはよかったかなと思っています。今季に経験したことすべては、来シーズンにつながる。これからどういう練習をすべきか、どういう努力をすべきか、自分でわかるようになりました。五輪に向かって精一杯がんばって、自分のパーフェクトなプログラムを、納得のいくパフォーマンスをお見せしたいと思います。

「2018年平昌五輪と2022年北京五輪、両方の表彰台に立ちたい」と以前話していましたね。まずは来季の演技を楽しみにしています。

はい、ありがとうございます。

2017年4月、世界選手権にて取材

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