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本田、200点超えの銀
坂本が銅でダブル表彰台

今季のジュニア世界一を決める世界ジュニア選手権が3月15日~19日、台湾・台北アリーナで行われた。 女子シングルでは、本田真凜が銀メダル、坂本花織が銅メダル、白岩優奈が5位に入り、日本女子の強さを改めて世界に示す結果となった。男子シングルでは友野一希が9位、初出場の島田高志郎が14位と健闘した。

本田「去年の自分に圧勝」
坂本、原動力は「もうジュニアはいや」

前回大会優勝の本田真凜、全日本ジュニア女王の坂本花織、2年連続出場の白岩優奈。強い布陣となった日本勢と、昨季は優勝候補と目されながら直前の怪我で棄権となったポリーナ・ツルスカヤ、今季のジュニアGPファイナル優勝のアリーナ・ザギトワらロシア勢の対決に関心が集まった女子シングル。上位3人がショート、フリーで完璧な演技を揃え、自己ベストを叩き出すハイレベルな戦いが繰り広げられた。

ディフェンディングチャンピオンの本田は、ショートから勝負強さを発揮した。最終滑走で登場すると、『スマイル』を伸び伸びと演じ、3つのジャンプをしっかりと決めて68.35点の自己ベストをマーク。2位につけた。「追いつくっていう気持ちだけしかないのが、ショート2位。自分が望んでいる順位で折り返せたのも良かった」とフリーへ向けて笑顔を見せた。
そして首位のザギトワと2.23点差で迎えたフリー。最初のジャンプから一つひとつの技を決めるごとに会場の歓声が大きくなり、『ロミオとジュリエット』を演じる本田の滑りにも熱がこもる。ジャンプをすべて成功、スピン、ステップでも最高レベルを揃え、最後は大歓声の中でガッツポーズ。フリー133.26点、総合201.61点という高得点が出るとキスアンドクライで涙が溢れた。結果は銀メダル。2年続けて大舞台でパーフェクトな演技を2つ揃え、実力を証明した。「目指していた順位ではなかったのでそれはすごく悔しいですけど、去年よりも成長した姿を見せられたと思う。去年の自分に点数的にも、精神的にも圧勝できた」と悔しさと喜びの入り混じった大会を振り返った。

2年ぶり2度目の出場となった坂本は、前回の出場時よりも戦う気持ちを持って臨んだと言い、言葉通りに最後まで闘志を見せて銅メダルを獲得した。ショートではプログラム後半にダイナミックな「3回転フリップ+3回転トウループ」を決めるなど、クリーンな演技で67.78点。「大きな舞台で勢いが止まらず、しっかり自分なりの演技ができて自己ベストが出せたので良かったと思います」。
3位で迎えたフリーは、最終滑走で登場。直前には本田、ザギトワの2人が見事な演技で200点台の首位争いを繰り広げ、会場も沸いていた。その中で坂本は堂々とした滑りを披露し、フリー127.76点、総合195.54点で銅メダルを掴んだ。「(コーチから)『表彰台に上らなかったらもう1回まだジュニアだよ』と言われていて、もうジュニアはいやだ、試合数多い、と(笑)。だから“表彰台、表彰台”と思って」と、がんばりの原動力について話した。

白岩は怪我と戦いながらのシーズンを大舞台で締めくくった。ショートでは落ち着いた滑りで自己ベストを更新する62.96点。昨年4月に左足を骨折し、ジャンプを跳び始めたのはシーズン開幕直前だった。「シーズン最初は全然思うような結果が出なかったので、正直、世界ジュニアへの出場は半分諦めていた。去年よりも良い内容のショートプログラムを滑ることができて良かった」という納得の出来で折り返した。フリーでは、後半の3回転ルッツでの転倒もあったが、フリー111.42点、総合174.38点で5位。「ショート、フリーを滑り切ることができて、悔いはないです。やり切ったという感じ」と語った。

ザギトワが歴代最高得点をマーク
14歳で初出場初優勝

女子シングルで優勝したのは、高難度のプログラムを滑り切った14歳のアリーナ・ザギトワ。ジュニア1年目でジュニアGPファイナル優勝、強豪ぞろいのロシア選手権で世界女王のエフゲニア・メドベデワに次ぐ2位に入った新星。ショート、フリーで、すべてのジャンプを技の基礎点が1.1倍になるプログラム後半に配置し、ほとんどのジャンプで片手や両手を挙げて跳ぶなど、技術力の高さが際立っていた。フリーでは、完璧な演技を披露した本田の直後で滑走。緊張する場面でも隙のない滑りで、フリー138.02点、総合208.60点というジュニア女子シングルの歴代最高得点を叩き出し、初出場初優勝を果たした。「マリンのあとに滑るのはすごく大変だった。1つでもミスをしたら優勝はないとわかっていたのですごく緊張しましたが、最初のポーズをとったら不安はなくなりました。今回のタイトルは自分自身への勝利だと思うので、嬉しいです」と喜びを語った。

一方、昨季に続き優勝候補の一角と目されたツルスカヤは10位。シーズン中に怪我とリハビリを繰り返し、アップダウンの大きなシーズンとなった。また4位には韓国のイム・ウンスが入った。イムは今季の韓国選手権を制した14歳。年齢規定に満たず、地元開催の平昌五輪には出場できないが、幅のある鋭いジャンプで将来性を感じさせた。

4回転3本を決めたゾウが初優勝
ロシア男子が銀と銅

男子はディフェンディングチャンピオンのダニエル・サモヒン(イスラエル)、ジュニアGPファイナル優勝のドミトリー・アリエフ(ロシア)、同じくファイナル銅の韓国のチャ・ジュンファンらを中心とした表彰台争いが予想された。
ジュニアではショートは4回転を入れることができないルールのため、トップ選手たちのジャンプ構成には大きな差がなく、1つのミスが順位を左右する。また4回転を入れることができるフリーでは、4回転を武器に大逆転することも、転倒によって大きく順位を下げてしまうこともある。昨季はショートとフリーで上位3人が入れ替わる波乱の展開となったが、今大会もフリーで逆転劇が待っていた。

ショートで首位に立ったのは、アリエフ。昨季もショートで首位に立ったが、フリーで挑んだ4回転にミスが出て演技をまとめ切れずに6位となった悔しい経験を経ての今大会。哀愁漂うピアソラの『オブリビオン』でコンポーネンツスコアでも高得点を挙げて83.48点で首位発進した。
ショート2位は、ブライアン・オーサーコーチのもと、今季、快進撃を続けているチャ。「表情をつけることと振付に特に力を入れて練習してきた」と言う『コーラスライン』で、上半身までよく動く楽しげなステップを披露。82.34点で表彰台に手をかけた。
ショート3位はアレクサンドル・サマリン(ロシア)。クリーンなトリプルアクセル、迫力ある「3回転ルッツ+3回転トウループ」を決めて82.23点。だが、昨季はショート2位ながらフリーでミスが出て総合4位と表彰台を逃しただけに、「パーソナルベストを出せたが、心を動かされることはありません。ぼくのメインタスクは明日のフリー」と、気を引き締め直した。4位アレクサンドル・ペトロフ(ロシア)、5位ヴィンセント・ゾウ(米国)がミスのない演技で続いた。
一方、前回王者のサモヒンは、冒頭の3回転ルッツで転倒するなど、ジャンプ3本すべてにミスが出て67.00点。まさかの16位スタートとなった。

そして翌日のフリー。逆転劇の主役はショート5位のゾウだった。フリーで連続ジャンプを含む、2種類3本の4回転を成功させて逆転で初優勝した。冒頭に4回転ルッツ、続いて「4回転サルコウ+3回転トウループ」、さらに後半にも4回転サルコウを用意。高難度なプログラムを滑り切って、技術点だけで104.66点を獲得。フリー179.24点を叩き出し、ジュニア男子シングルの歴代最高得点となる総合258.11点。ジュニアとしては驚異的なパフォーマンスを演じた。「ずっと思い描いてきたクリーンなプログラムを、今季の最後の試合でついにやり遂げることができて、まだショックが覚めませんが誇らしく思います」。全米選手権でネイサン・チェンに次いで銀メダルを獲得したゾウが、その力を世界に示す金メダルに輝いた。

ショート1位のアリエフが2位で表彰台を守った。最終滑走の緊張感のなか、4回転トウループにはミスが出たが、そのあとをしっかりとまとめた。スケーティングの美しさや、ジョシュ・グローバンの『Broken Vow』を雰囲気たっぷりに演じたパフォーマンスも高く評価され、プログラムコンポーネンツは全体で1番のスコア。フリー163.83点、総合247.31点で銀メダルを手にした。「今大会は熾烈な戦いでしたが、自分の気持ちに打ち勝つことができました。いい結果でジュニアのキャリアを終えて、自信を持って来季からシニアに上がれます」と語った。

サマリンも今季はショート3位から踏み留まり、銅メダルを獲得。2本の4回転を着氷したフリーで163.30点、総合245.53点で4度目の世界ジュニア選手権で念願の初メダルを掴んだ。「この銅メダルがもっと努力が必要だと示してくれました。1番ではない、ということはまだ練習にすべてを捧げられていないということ」と、さらなる飛躍を誓った。

アレクセイ・ミーシンに師事するペトロフが総合243.47点で4位。ショート2位だったチャは、後半の4回転サルコウでの転倒が響いて、総合242.45点で5位に終わった。
一方、ショート16位のサモヒンは、ショート9位から優勝を掴んだ昨季同様、またもフリーで好演を果たした。冒頭の「4回転トウループ+3回転トウループ」に続いて4回転サルコウも決め、後半の4回転トウループは転倒したが、フリー165.63点は全体で2番目。総合でも232.63点で6位まで追い上げた。

友野「プレッシャーをかけてやってきた」
初出場の島田「喝を入れられた」

日本からは、ジュニアラストイヤーの友野一希と、15歳の島田高志郎が出場した。
昨季の世界ジュニア選手権へは、山本草太の欠場により急遽出場が決まった友野。初出場で世界との距離を体感し、スケートに対する姿勢が変わったと言う。今季は全日本ジュニア選手権を制して自力で出場を勝ち取り臨んだ。
ショートでは前半2つのジャンプを丁寧に決めたが、「跳ばなきゃという気持ちが強すぎた」とトリプルアクセルで転倒し、14位スタート。フリーでは、4回転サルコウ、2本のトリプルアクセルを堪えながらも着氷、『巴里のアメリカ人』をいきいきと演じ、最後は笑顔で演技を終えた。フリーは143.16点で7位、総合211.28点で9位まで巻き返した。成長のシーズンを振り返って「今年1年は自分にプレッシャーをかけてやってきた。もっとできたかもしれないんですけど、この1年でよくここまでこれたなというのはあります。本当にがんばった。自信もつきましたし、これからまたこのペースでがんばれたら」と良い表情を見せた。

島田高志郎は「良い練習ができたのでしっかり自信を持って臨めた」と、初出場とは思えない落ち着いた演技でショートをミスなく滑り、12位でフリーへ。
今季はトリプルアクセルの習得を大きな目標に掲げ、練習ではプログラムの中でも成功させられるほどものにしていたと言う島田だったが、その練習から腰に痛みが出てしまい、今大会は大技を回避した構成でフリーに挑んだ。腰の痛みの影響からジャンプにはややミスが出たが、『ロミオとジュリエット』の楽曲に乗せてドラマティックなフリーを披露し、総合194.10点で14位。初めての世界ジュニア選手権を終えて、「240点出して表彰台に乗れない、すごい時代になってしまった。励みになったし、喝を入れられた」と世界のレベルを体感したようだった。

2人の順位合計が「23」となり、「28以内なら2枠」を満たし、来季も出場枠「2」を確保した。

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