フィギュアスケートを100倍楽しく見る方法 - Ways to Enjoy Watching Figure Skating -

ルール解説

フィギュアスケートは「スポーツ」か「芸術」か――。

文・野口美恵(スポーツライター)

スケーターたちの美しい演技に魅了されるフィギュアスケート。しかし実際に選手が何を考えて滑っているのか、またどんな練習をしているのか、などは意外と知られていないもの。そこで、日本を代表する元フィギュアスケート選手の村主章枝さんに、フィギュアスケートの観戦がより身近になる「豆知識」をお聞きしました。

採点の基本

採点は、 トータル・エレメンツ・スコア (TES=技術面) プログラム・コンポーネンツ・スコア (PCS=芸術面) の2つからなる。

トータル・エレメンツ・スコア(TES=技術面)

すべての技は「難しさ」と「質」の2つの視点で評価される。
技の種類は、ジャンプ、スピン、ステップ、コレオシークエンスの4種類。難度に応じた「基礎点」と、その時の出来栄え(質)に応じた「GOE」の合計で点数が決まる。

例えば3回転トウループの基礎点は「4.3」、4回転トウループは「10.3」。一方でGOEは、転倒したら3回転トウループは「-3」、4回転トウループは「-4」となり、飛距離や流れがあるなど質が高いものは「+3」まで狙える。
コレオシークエンスは、いわば「プログラムの見せ場」。いかに音楽を全身で表現したか、独創的であったか、などが「GOE」で評価される。

つまり技術面といっても、単に難しい技に挑戦すれば良い訳ではない。「難しさ」と「質」の両面をどう追求するかが作戦になる。
観戦する側は「この技は難しいからスゴイ」「この技は綺麗にこなしたからスゴイ」という2つの視点で見ると、分かりやすいだろう。

プログラム・コンポーネンツ・スコア(PCS=芸術面)

フィギュアスケートの"芸術性"をひとことで言えば「スケートの技術を使って素敵な踊りをしていること」だ。止まったまま激しく踊ってもスケートではないし、フットワークは素晴らしいのに上半身が固まったままでは芸術的とは言えない。

芸術性の評価には、5つの視点がある。
 (1)スケーティング技術
 (2)技と技のつなぎ
 (3)演技力
 (4)振付け
 (5)音楽解釈
――だ。

例えば、音楽の盛り上がりではスピードを出してパワーを強調し、スローパートでは柔らかなフットワークで優雅さをアピールしたとしよう。すると、スケーティング技術、演技力、振付け、音楽解釈の点に繋がることが期待される。また、ジャンプから次のジャンプまでを、ステップや踊りで余すところなく繋いでいけば「つなぎ」を評価してもらえるだろう。

実際には、複雑なルールを知っておく必要はない。技の難しさも質も、演技も、すべてが点に繋がる。だからこそ、心を真っ白にして観戦してほしい。目に焼きついて離れない一瞬があれば、それこそが素晴らしい演技なのだ。

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