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インタビュー

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THE BEST SHOT

機材情報
EOS-1D X + EF400mm F2.8L IS II USM + EXTENDER EF1.4×III, F4.0, 1/2000sec., ISO200

今期の目標が自己新、それは日本新記録。
2010年に記録を出してからしばらく低迷していたが今年は好調の福島選手。
予選では自身のパーソナルベストを上回る選手が4人もいる組に入り、ベストを尽くさなければ準決勝には残れない。
いつも以上の真剣な眼差しが見られると思い、スタートでの彼女の瞳を狙いました。

インタビュー/文・高樹 ミナ

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——長く陸上競技を撮っていらっしゃいますが、スポーツ写真の中でもなぜ陸上競技をメインにされているのですか?

ほとんど道具を使わず身ひとつで勝負するのが陸上競技ですよね。それがものすごく魅力的だと思うからです。仕事としてスポーツ写真を撮り始めたのは1992年。フリーになる前はフォトエージェンシーのフォート・キシモトに在籍していました。最初は動物を撮りたいと思っていたんですよ、ネイチャー写真のような。でもスポーツを撮り出したら人間も動物もよく似ているし、第一人間は言葉が通じるでしょ(笑)。写真を撮るときも競技者のことを知っているというのはとても大事なことなので、それができるスポーツ写真にどんどん傾倒していきました。

——過去の世界陸上で思い出深いエピソードを教えてください。

2003年パリ大会の200mで末續慎吾選手が3位になったとき。アジア人でメダルに届いたのは彼が初めてで、それを知っている海外のカメラマンも末續選手のもとに詰めかけて、僕まで「おめでとう、ジャパン!」と祝福されました。同じ日本人として誇りに感じてとてもうれしくて、思わずジーンときちゃいました。

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——スポーツ写真の魅力とは何でしょう?

一瞬を切り取る面白さです。競技中って、走ったり泳いだりするだけじゃなく選手の感情があるから、彼らの人間性みたいなものが写真に出るんですよ。ただそれは一瞬でしかないので、撮る側にも決断力と瞬発力が求められます。陸上でいえば100mで狙った選手がいたとしても、ほかの選手がゴール間際で追い上げてことがある。僕はファインダーを覗いているほうの目で狙った選手を見て、もう片方の目で他の状況を見ているので、別の選手が来たなと思ったら一瞬の判断で狙いをパッと切り替えます。それが面白いんです。そのときにキヤノンのカメラは素早くピントが合うし、レンズも軽くて手持ちでも振れるのでスポーツ写真に適していますね。

——北京大会ではどのレンズを使って、どんなショットを狙いますか?

メインは400mm F2.8 II型。同じ400mmでも背景がきれいにぼけて選手が浮き立つように見えます。バリエーションが圧倒的に広がるので100-400mmのII型も使います。また撮影エリアに制限があって、どうしてもその場所からではないと撮らせてもらえないというときも非常に便利です。広角レンズの16-35mm F4も使いますね。あとスポーツではあまり使われませんが、TS-E90mmとか。競技場を上から俯瞰したミニチュアっぽい画も撮ってみたいなと思っています。あとは50mmのSTMですね。あれを持って行って、被写体に寄れるときは使ってみようと。ボディーはEOS-1D Xがメインですが、EOS 5Dsでどのような表現ができるかも試してみたいと思っています。ただ正直なところ、あらかじめこういう画を撮りたいというのは基本的になくて、その時々の光の具合で画を決めることがほとんどです。

——光の具合?

そう、光は重要です。良い光を見つけるために競技場をぐるぐる歩き回って、「あそこに面白い光が差し込んでいるな」と思ったら、そこで行われている種目を撮るという具合です。いかに人と違う画を撮るかが常に頭にあって、自分ならではの作品を作るイメージでいます。その点でいえばオリンピックや世界陸上など世界大会の予選って独特で面白いんですよね。すごくざわついていて、選手はよほど集中しなければ記録を出せないこともあるので、精神的な強さが試されます。ファインダーを覗いているとそれがよくわかるんですけど、あの混沌とした雰囲気に飲まれちゃう選手がいます。特に棒高跳や走り高跳などでは顕著だと思います。

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——北京大会では写真を通して何を伝えたいですか?

一瞬の表情から選手の人間性が垣間見える写真を撮って、それを見た人に現場の空気感を届けたいですね。世界大会ならではのスタンドの興奮だったり、息を呑む静けさだったり。あるいは雨粒や照りつける陽射も含めて。ただ単に選手の体を撮るだけじゃなく、時にはリレーのバトンにぐっと寄ったり、逆に引いて競技場の雰囲気をとらえたりしながら、臨場感あふれる写真をたくさん撮りたいと思います。