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インタビュー

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インタビュー/文・高樹 ミナ

ボルト vs ガトリン、軍配はどちらに!?

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——陸上競技の花形といわれる短距離ですが、今大会はちょっぴり勢力図が変わっていますね。

ここ10年はジャマイカがトップにいて、その後ろに米国がいるという図式でしたが、今年の春先から現在までを見ると、ジャスティン・ガトリン選手をはじめ米国が成果を上げてきています。ディフェンディングチャンピオンのウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は故障があって、直前で間に合わせてきたという感じですが、ちゃんと戦う土俵に上がってきたのはさすがですね。ただ、ガトリン選手の調子が良いので、うかうかしていられない。楽には勝たせてもらえないかもしれません。また、今大会の結果は来夏のリオデジャネイロ五輪に繋がりますので、残り1年を占う意味でも見応えがあります。

——日本人選手をはじめアジア勢の可能性はいかがでしょう?

昨年のアジア大会で優勝したフェミ・セウン・オグノデ選手(カタール)に期待を寄せています。今年6月のアジア選手権100mで9秒91(アジア記録)を出していますが、アジアで行われる大会の価値は世界大会における彼の活躍にかかっていると言えるでしょう。日本では藤光謙司選手が海外でかなり結果を出しているので、世界陸上では決勝で走る姿を見たいですね。以前、彼は感情を内に秘めるタイプでしたが、最近は自分の色を打ち出すようになり200mでの評価も上がりました。それが競技に良い影響をもたらしているので、是非チャンスを掴んで欲しいです。

ベテランは結果を、若手は伸び伸びとしたレースを

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——藤光選手と同世代の高瀬慧選手にも頑張って欲しいですね。

高瀬選手も、2008年北京五輪の4×100mリレーで銅メダルを取った高平慎士選手の背中を見て成長してきて、今大会ではようやく結果を出せる状態になりつつあると思います。また女子では福島千里選手。これまでいろいろな重圧を背負ってきましたが、たくさんの経験を積んでそれらが吹っ切れ、グレードがどんと上がりましたよね。北京では日本記録を更新してくれるはずです。女子の短距離全体ではジャマイカ勢が強いとはいえ接戦で、準決勝を1、2着で通過して決勝へ進まない限り勝負にならないでしょう。準決勝は見どころですよ。

——話題の高校生、サニブラウン・ハキーム選手はどのようにご覧になっていますか?

200mでユース日本最高記録を持っていますが、ユースとシニアではレースパターンが全く違います。ただ、1レース1レース勢いがあるので、北京で良いレースができれば波に乗って伸びていく可能性はあるでしょう。100mや200m以外に男子400mも非常に楽しみです。近年記録が横ばいで、マイケル・ジョンソン以降、43秒台は聞こえてきません。44秒を切るということは単純計算すると、100m11秒かからないということですから人間の極限を超えていますよね。ぜひ43秒台を見たいです。世界陸上6度目の出場となる金丸祐三選手にも自身の集大成を目指して、思い切った勝負をして欲しいですね。

スタート前の選手の仕草に注目!

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——フィールド競技ではどの種目に注目していますか?

跳躍は面白いですよ。日本人も入賞レベルにいる選手ばかりで、海外での場数も踏んでいますから。中でも棒高跳は日本にはない、海外ならではのスタジアムの雰囲気があり、その独特の雰囲気に飲まれないことが大事なんです。走り高跳も戸邉直人選手などはジュニアの頃から世界を回っていますから、良い緊張感で臨めれば結果を出せると思います。走り幅跳の菅井洋平選手なども海外で8m18の記録を出していますから、上位入りの可能性は高いですよ。本当に跳躍は楽しみです。

——投てきはいかがでしょう?

日本のやり投は充実期に入ってきていて、あとは選手自身がどこまでの結果を狙うか次第ではないでしょうか。入賞狙いに留まらずメダルを狙っていけば、自ずと期待する結果が出せると思います。

——昨年10月まで2年間、日本陸上連盟の男子短距離強化部長をお務めで、今回の世界陸上は競技解説者としてレースをご覧になります。日本で応援する皆さんにどんなことを伝えたいですか?

世界のトップ選手の素晴らしさを伝えるとともに、日本人選手の成長を伝えたいと思います。選手強化の現場に立ち、彼らが成長する姿を目の当たりにしてきました。前回のモスクワ大会以上に今回は本当に楽しみな選手が多いですよ。また、スプリンターとしての自分の経験を生かしたいですね。例えば筋肉のツヤや張り、汗のかき方でも選手の状態がわかるんですよ。あとは目ヂカラ。スタート前の目を見ていると、どんなに強い選手でも不安が表れていることがあります。テレビ中継をご覧の皆さんもレース前の選手の仕草を注視すると、よりレースを楽しめると思いますので、ぜひスタート前に注目してみてください。