通常のレンズでは、レンズ光軸とフィルム面の中心は一致していて、光軸とフィルム面は垂直です。これを変化させると、画像に様々な変化をつけることが出来ます。例えば、通常フィルム面に対して垂直な関係にある レンズ光軸を傾けると、ピントの合う範囲をコントロールすることが可能になります。この操作を「ティルト」といい、被写界深度の限界以上に、手前から奥までピントを合わせたり、極狭い範囲にのみピントを合わせることが可能になります。また通常フィルムの中心に位置しているレンズ光軸を平行移動させると、像のゆがみを修正したり、逆にゆがませることが可能になります。この操作を「シフト」といい、通常ビルなどを撮影する際に起こる上すぼみ現象を、遠近感を修正して、自然な写真を撮影することが可能になります。
ティルト・シフト操作は従来は大判カメラでのみで可能でしたが、キヤノンでは同様の機能を備えたレンズを1973年にTS35mm F2.8 S.S.C.で、また1991年にはEMDによる自動絞りが可能な3本のTS-Eレンズシリーズとして発売しました。TS-Eレンズシリーズは現在35mmカメラ用としては唯一ティルト・シフト操作が可能なレンズです。