2012年3月号

PowerShot G1 X

新レンズ、新撮像素子、DIGIC 5によるキヤノン史上最高画質を誇る新モデル
キヤノン製コンパクトデジタルカメラにおいて。2011年11月30日現在。キヤノン調べ。

写真1 PowerShot G1 X

写真1 PowerShot G1 X

今月の技術レポートは、2012年2月に発表した、カメラ部有効約1430万画素高感度1.5型CMOSセンサーと、レンズシフト式手ブレ補正機構付き4倍ズームレンズ(35mm判換算焦点距離28-112mm)を搭載したPowerShot G1 Xの概要と特長に関する情報をお届けします。

開発の狙い

PowerShot Gシリーズは、コンパクトタイプのデジタルカメラとしてトップクラスの高画質に加え、業務用途に耐えられる高い信頼性や、ハイアマチュアに不可欠の高度な作画機能の具体化により、高い評価を得ています。

PowerShot G1 X(写真1)は、PowerShot Gシリーズの上位機種として開発した新製品です。レンズとCMOSセンサーをキヤノンで内製し、映像エンジンDIGIC 5との相乗効果で、「一眼レフカメラに迫るボケ味(1)」や「卓越したノイズリダクション(NR)性能(2)」を有した、「コンパクトデジタルカメラ史上最高画質(2)」を誇るカメラです。なお、開発の狙いは次のとおりです。

■キヤノン史上最高画質とコンパクトカメラの機動力を併せ持つ、プロユースにも耐えるハイエンド・コンパクトカメラの実現

1 デジタル一眼レフカメラ・標準キットレンズ使用時との比較において(3)
2 キヤノン製コンパクトデジタルカメラにおいて(3)。
3 2011年11月30日現在。キヤノン調べ。

特長1 高画質

写真2 CMOSセンサー

写真2 CMOSセンサー

図1 CMOSセンサー面積の比較

図1 CMOSセンサー面積の比較

図2 レンズ構成図

図2 レンズ構成図

図3 HS-SYSTEM

図3 HS-SYSTEM

写真3 ISO12800 サンプル画像

写真3 ISO12800 サンプル画像

キヤノン製の大型・高感度CMOSセンサー

キヤノンレンズ・映像エンジンとの組み合わせによる最大効果を考慮して設計したキヤノン製の高感度CMOSセンサー(1.5型、カメラ部有効約1430万画素)を採用しています(写真2)。

このCMOSセンサーは、EOSシリーズで培った技術とノウハウを投入して、感度やS/N比、ダイナミックレンジなどの性能はEOSシリーズ用と同レベルながら、PowerShot G1 X用に最適化したものです。PowerShot G12(1/1.7型CCD)と比べて、センサー面積は約6.3倍で、縦(短辺)の長さはAPS-Cサイズとほぼ同じの14.0mmです(図1)。また、1画素あたりの受光面積も約4.5倍になっています。

大型でより多くの光を取り込めるこのCMOSセンサーにより、一眼レフカメラ並みのボケ味や、高感度撮影でのノイズ低減、低感度撮影での解像感向上、コンパクトカメラの表現力を大きく超えた自然で滑らかな階調表現など、コンパクトカメラの想像を超えた画質の進化を実現しています。

大型センサーとDIGIC 5の能力を余すところなく引き出す、新設計キヤノンレンズ

35mm判換算28-112mm、開放F値F2.8(広角端)- F5.8(望遠端)の4倍ズームレンズを搭載しています。レンズ構成は、両面非球面UAレンズ2枚、両面非球面レンズ1枚を含む10群11枚です(図2)。

レンズ一体型の特性を生かし、光学4倍ズームレンズと1.5型CMOSセンサーを搭載しながらカメラのコンパクト化を実現するとともに、薄暗いシーンでも効果的に光を取り込み、CMOSセンサーや映像エンジンの能力を最大限に引き出す光学設計がなされています。

このレンズは、望遠端での解像性能が極めて高いので、特に望遠側のポートレート撮影では、1.5型CMOSセンサーと6枚羽根の虹彩絞りが相まって、このカメラならではの美しいボケ味が楽しめます。

映像エンジンDIGIC 5

PowerShot S100に搭載して好評を博している、高性能映像エンジン「DIGIC 5」を搭載しています(4)。高感度CMOSセンサーとDIGIC 5との連携により、PowerShot G12に比べて次のような改善が図られています。

HS -SYSTEMの進化(図3)

画像に応じて最適なNR処理を行うことで、解像感を損なわずにノイズを効果的に低減しています。その結果、ISO3200において、約1/4(約2段)(5)の低ノイズ化を実現しています。

ホワイトバランス性能の向上

画像内のエリアごとの光源情報を検知して適正ホワイトバランス処理を行う「マルチエリアホワイトバランス」を搭載しています。主被写体と背景が異なる光源で照らされている場合でも、その両方が最適な色合いになるように調整できます(4)。

4 DIGIC 5やマルチエリアホワイトバランスの詳細は、2011年12月号の技術レポート「PowerShot S100」の解説をご覧ください。
5 ノイズレベルが従来のISO 800に相当(キヤノン測定方法に基づく)。

高感度ISO設定(ISO 12800)

1.5型CMOSセンサーとDIGIC 5の連携により、記録画素数に制限なく、ISO12800での圧倒的な高感度撮影が可能です。人の目では暗くて見えないような場所でも、ノイズを抑えて鮮明に撮影できます(写真3)。また、最高1/4000秒のシャッタースピードを生かして、薄暗い体育館でのスポーツ撮影などでも活躍します。

高感度時のノイズリダクションレベルの調節が可能(高感度時NR)

高感度領域では、撮影シーンによってノイズリダクションの効果が顕著に現れます。そのため、撮影意図に近い効果を選べるように、効果レベルを3段階から選択できるようにしています(6)。

6 撮影モードM、Tv、Av、Pで選択可能です。RAW画像に対しては、選択レベルは無効(常に標準)になります。

EOSと同じ14bit RAW採用

各色8bitのJPEGも、EOSシリーズと同じ14bitで信号処理(14bit RAW)するため、従来のコンパクトカメラの信号処理に比べ4倍の階調情報量を有し、より階調性が豊かな画像を得られます。

現像はEOSと同じDPP(Digital Photo Professional)を使用し、撮影意図を反映した画作りも可能です。

逆光時の主被写体検出精度の向上

逆光判定のアルゴリズムの改善により、従来では暗すぎて逆光と判定されなかったシーンでも主被写体(人)を検出できるため、ストロボモードを「オート」にしていても適切に自動発光が行われ、自然な仕上がりの写真が得られます。

約4段分の効果のある光学式手ブレ補正機構
ぴったりフラッシュ
i -コントラスト
マルチシーンIS

特長2 高機能

図4 マルチシーンIS

図4 マルチシーンIS

図5 著作権情報の設定

図5 著作権情報の設定

静止画と動画、ズーム位置、撮影距離といった撮影状況に応じて、カメラが自動的に最適な手ブレ補正モードを選択する「マルチシーンIS」を搭載しています(7)(図4)。

7 マルチシーンISの詳細は、2011年12月号の技術レポート「PowerShot S100」の解説をご覧ください。

多彩なシーンモード(8)

大容量の高画質データを瞬時に処理できるDIGIC 5とCMOSセンサーの特長を生かして、フル画素(約1430万画素)の画像を最高約4.5枚/秒(9)の高速連写が可能な「ハイスピード連写HQ」を搭載しています。

そのほかにも、PowerShot S100などに搭載している「ムービーダイジェスト」や「手持ち夜景」、「トイカメラ風」や「モノクロ」といったフィルター効果系のシーンモードをまとめた「クリエイティブフィルター」など、撮影状況や撮影シーンに合わせた撮影をさらに楽しめるようになっています。

8「表2 PowerShot G1 Xの主な仕様一覧」の撮影モード参照。
9 1回の連続撮影では最大6枚までです。

32シーンが判別可能な「こだわりオート」、21シーンが判別可能な「こだわりムービー」
Tv・Mモード時に最長60秒のシャッタースピードを設定可能
動画ボタン搭載、撮影中の光学ズームやステレオ音声による充実の動画機能

PowerShot Gシリーズ初の動画ボタンを搭載し、動画撮影がさらに簡単にできるようになりました。また、1920×1080画素(24fps)の「フルハイビジョン動画」に対応しています。ボケ味のある表現で日常のシーンをイメージビデオのような美しさで記録できますので、PowerShot G1 Xならではの高画質動画をお楽しみください。

そのほかにも、Apple社が提唱する「iFrame動画」や、クリエイティブフィルターの効果を付加した「ジオラマ風」や「モノクロ」などの動画撮影が可能です。

著作権情報の設定が可能

キヤノン製コンパクトデジタルカメラでは初めて、撮影画像に著作権情報を付加する機能を搭載しています(図5)。

著作権情報として登録できるのは、現行のEOSと同様に「作成者名」と「著作権者名」で、付属のソフトウエア「Zoom Browser EX/ImageBrowser」からも登録可能です。

サーボAF・サーボAE
キャッチAF
AF連続撮影
後幕・先幕を選択できるストロボ
ブラケティング機能(AE・フォーカス)
マルチアスペクト対応
ヒストグラム表示

特長3 快適操作

キヤノン製コンパクトデジタルカメラ初の3.0型・92.2万ドットバリアングル液晶モニター(クリアライブ液晶V)
実像式光学ズームファインダー
露出補正と撮影モードをダイレクトに設定できる2段ダイヤル
EOS風の操作方法を設定可能な電子ダイヤル・コントローラーホイール
ポップアップストロボ
ハイスピード連写HQで撮影した画像を1つのグループとし、1枚目だけを表示する「グループ再生」
ムービーダイジェストで記録された動画の再生に特化した「ムービーダイジェスト再生」
よく使う撮影メニューを登録できるマイメニュー

特長4 風格漂うボディデザイン

品位あるつややかな黒と、直線を基調とするシンプルなデザインにより、ボディは力強い存在感を醸し出しています。レンズ鏡筒とのバランスを考慮して設計されたグリップには綾目ラバーを使用し、確かなグリップ感を強調しています。

また、整然と配置された操作部は、洗練されたデザインにより、操作性と視認性が一段と向上しています。

特長5 充実した印刷機能・デジタルコミュニケーション

DPOF機能を利用した印刷予約
PictBridge対応
HDMIミニコネクター装備
EXスピードライトおよびアクセサリーが使用可能

特長6 豊富なシステムアクセサリー

アクセサリーシューを装備しているため、EOS DIGITALと同様にEXスピードライトやマクロリングライト、マクロツインライト、スピードライトトランスミッター、スピードライトブラケットが使えます(表1)。

表1 EXスピードライトおよびアクセサリー

表1 EXスピードライトおよびアクセサリー

写真4 ウォータープルーフケースWP-DC44

写真4 ウォータープルーフケースWP-DC44

写真5 ソフトケースSC-DC75

写真5 ソフトケースSC-DC75

ウォータープルーフケース(別売)

水深40mまで使用可能なウォータープルーフケースWP-DC44(写真4)を用意しています。

ソフトケース(別売)

ボディを保護するための本革製専用ソフトケース SC-DC75(写真5)がオプション設定されています。

リモートスイッチ (RS60-E3)(別売)
Eye -Fiカード対応

■以上、今月は、PowerShot G1 Xをご紹介しました。表2にPowerShot G1 Xの主な仕様一覧を示します。

本体には、写真6に示したようなキットが付属しています。なお、希望小売価格はオープン価格となっています。

写真6 キット構成

写真6 キット構成

  PowerShot G1 X
撮像素子
(CMOS)
カメラ部有効約1430万画素(高感度タイプ)、1.5型(総画素数:約1500万画素)
カラーフィルター 原色フィルター
撮影レンズ
(35mm判換算)
28 - 112mm、F2.8(広角端) - F5.8(望遠端) 4倍ズーム
デジタルズーム 約4.0倍(光学ズームと合わせて最大約16倍)
光学ファインダー 実像式ズームファインダー、視度調節可能
液晶モニター 3.0型(TFTカラー、約92.2万ドット、高色再現・広視野角タイプ)、輝度調節、LCDブースター、バリアングルタイプ
フォーカス オートフォーカス:コンティニュアス、サーボAF(サーボAE追従)、顔優先AiAF/キャッチAF/中央/アクティブフレーム
マニュアルフォーカス
撮影距離 オート時 : 20cm - ∞(広角端)/ 85cm - ∞(望遠端)、
マクロ選択時 : 20 - 70cm(広角端)/ 85cm - 1.6m(望遠端)
シャッター メカニカルシャッター・電子シャッター併用
シャッタースピード 1 - 1/4000秒、60 - 1/4000秒(すべての撮影モードを合わせたシャッタースピード範囲)
測光方式 評価/中央部重点平均/スポット(中央固定/AFフレーム連動)
露出補正 ±3段(1/3段ステップ)・露出シフト(動画時)は2段
ISO感度
(標準出力感度/推奨露光指数)
撮影モード「P」時:オート、 ISO 100/ 125/ 160/ 200/ 250/ 320/ 400/ 500/ 640/ 800/ 1000/ 1250/ 1600/ 2000/ 2500/ 3200/ 4000/5000/ 6400/ 8000/ 10000/ 12800
ストロボ調光範囲 50cm - 7.0m(広角端)/ 1.0 - 3.1m(望遠端)(感度:オート設定時)
ホワイトバランス オート/太陽光/くもり/電球/蛍光灯/蛍光灯 H/ストロボ/水中/マニュアル1/マニュアル2
撮影モード C1、 C2、 M、 Av、 Tv、 P、オート*1/ SCN*2/クリエイティブフィルター*3/動画*4
*1 こだわりオート可能
*2 ムービーダイジェスト/ポートレート/風景/キッズ&ペット/スポーツ/オートシャッター *5/ハイスピード連写 HQ/手持ち夜景/ビーチ/水中/新緑・紅葉/スノー/打上げ花火/スティッチアシスト
*3 ハイダイナミックレンジ/ノスタルジック/魚眼風/ジオラマ風/トイカメラ風/モノクロ/極彩色/オールドポスター/ワンポイントカラー/スイッチカラー
*4 スタンダード/iFrame動画
*5 スマイル/ウインクセルフタイマー/顔セルフタイマー
・動画は静止画モードで動画ボタン押下による撮影も可能*6
*6 静止画撮影時の画像効果を継承するモード(その他のモードでは、Pモード相当の動画になる):オート*7、ポートレート、風景、ビーチ、水中、新緑・紅葉、スノー、打上げ花火、ノスタルジック、ジオラマ風、モノクロ、極彩色、オールドポスター、ワンポイントカラー、スイッチカラー
*7 こだわりムービー
連続撮影 通常連続撮影時:約1.9枚/秒(撮影モード「P」時)、約4.5枚 /秒 *(撮影モード「ハイスピード連写 HQ」時)
・ストロボが自動発光しない明るさにおいて。また、ズームポジションによって異なる。
*1回の連続撮影枚数の上限は6枚。
記録画素数(静止画)
〈アスペクト比 4: 3時〉
RAW:4352×3264画素、ラージ:4352×3264画素、ミドル1:3072×2304画素、
ミドル2:1600×1200画素、スモール:640×480画素
圧縮率(静止画) ファイン、ノーマル
動画 スタンダード/動画ボタン押下による撮影*1: 1920×1080画素(24fps*2)/ 1280×720画素(30fps*3)/ 640×480画素(30 fps*3)
iFrame動画: 1280×720画素(30fps*3)
*1 ジオラマ動画撮影時は 1280×720画素(6/ 3/ 1.5 fps)/ 640×480画素(6/ 3/ 1.5fps)、再生時は30fps*3ムービーダイジェストで生成された動画は640×480画素(30fps*3)
*2 実際のフレームレートは23.976fps
*3 実際のフレームレートは29.97fps
記録媒体 SDメモリーカード/ SDHCメモリーカード/ SDXCメモリーカード
色空間 標準(sRGB)
ファイルフォーマット DCF準拠、DPOF対応
データタイプ 静止画 : Exif 2.3(JPEG)/ RAW(14ビット、CR2)*
動画 :MOV(画像: H.264、音声:リニア PCM(ステレオ)
*現像はDigital Photo Professional(DPP)を使用
電源 専用リチウムイオン電池: NB-10L、ACアダプターキット: ACK-DC80(オプション)
大きさ
(CIPA準拠)
116.7×80.5×64.7mm
質量
(CIPA準拠)
約534g(電池・メモリーカード含む)、約492g(本体のみ)

表2 PowerShot G1 Xの主な仕様