2012年1月号

EOS-1D X

高画質性能と高速性能を最高レベルで兼ね備えたプロ仕様のフラッグシップモデル

写真1 EOS-1D X

写真1 EOS-1D X

開発の狙い

EOS-1D X(写真1)は、フルサイズ高画質の「1Ds」と、高速性能に優れる「1D」シリーズを、最高レベルの性能で統合すべく企画・開発されたプロ仕様のフラッグシップモデルで、開発の狙いは次に示すとおりです。

高精細・高画質・高(広)ISO感度
  • フルサイズ約1810万画素CMOSセンサー搭載
  • デュアルDIGIC 5+搭載
  • 常用ISO感度100~51200、拡張50/102400/204800
先進のカメラ性能
  • 61点 新AFシステム
  • 10万画素RGB測光センサーによる新露出制御システム
  • 視野率約100%のインテリジェントビューファインダー
  • 約12コマ/秒のAIサーボAF連写
先進の画作り機能
  • 多重露出撮影
  • カメラ内RAW現像
プロの要望に応える操作性
  • 操作系の大幅な深化
  • 柔軟なカスタマイズ性能
高耐久、高信頼性、高剛性ボディ
  • 作動耐久40万回クリア()
  • 防塵・防滴、マグネシウム合金製ボディ

当社所定の基準にて行なった作動試験の結果に基づく参考数値。

では主に、EOS-1D Mark Ⅳに対する進化に着目しながら、全体概要をご紹介します。

高精細・高画質デジタル機能の進化

写真2 CMOSセンサー

写真2 CMOSセンサー

①フルサイズ約1810万画素CMOSセンサー搭載

有効画素数約1810万画素、有効撮影画面サイズ約36×24mmの高感度CMOSセンサー(写真2)を搭載しています。

②デュアルDIGIC 5+による高画質・高速画像処理

新映像エンジンDIGIC 5+は、低ノイズな画像処理や多重露出撮影などを可能にする、デジタル画像処理機能の要です。また、このエンジンを2個搭載することで、最高約14コマ/秒の超高速連写を実現しています。

③高(広)感度ISO 100~51200実現による撮影領域の拡大

最新技術を投入したCMOS構造とDIGIC 5+の低ノイズ処理により、常用ISO感度はEOS-1D Mark Ⅳに対し2段向上、ISO100~51200を実現しています。

④CFメモリーカード・デュアルスロット

CFカードTypel、llとUDMAモード7に対応したスロットを二つ備えています。

61点 新AFシステム

写真3 AFセンサー

写真3 AFセンサー

図1 AFフレーム配置

図1 AFフレーム配置

図2 AIサーボAF III

図2 AIサーボAF III

図3 測距エリア選択モードI

図3 測距エリア選択モードI

写真4 RGB測光センサー

写真4 RGB測光センサー

新開発の61点エリアAFセンサー(写真3)を採用し、プロカメラマンの多種多様な撮影シーンに対応できるAFシステムを実現しています。

①61点高密度レティクルAF

高密度に配置された61点のAFフレームは、F2.8とF5.6のデュアルクロス測距5点、F4レンズ使用時のクロス測距41点で、優れた測距能力を備えています(図1)。

②AIサーボAF lll

プロカメラマンの評価をフィードバックすることで、高精度で安定したAIサーボAFを実現しています。また、AIサーボAF lllでは、テニスやサッカーなど、これまでとらえにくかったシーンにも最適に対応できるようになっています(図2)。

③AFフレーム選択

61点のAFフレームを効果的に使用できる工夫が盛り込まれています。

測距エリア選択モード

スポット1点AF、1点AF、領域拡大AF(上下左右4点)、領域拡大AF(周辺8点)、ゾーンAF、61点自動選択AFが選択可能です(図3)。

任意選択できるAFフレーム

任意選択できる測距点を、クロス測距点だけにしたり、主要な15点、9点にすることができます。

④EOS iTR(Intelligent Tracking and Recognition)AF

10万画素RGB測光センサー(写真4)から得られる色情報と顔検出情報をAFにも活用することで、ゾーンAFと61点自動選択AF時に、被写体を捕捉し続ける能力が大きく向上しています。

新露出制御システム

図4 ファインダー視野に対する測光エリア

図4 ファインダー視野に対する測光エリア

①EOS iSA(Intelligent Subject Analys is)System

10万画素RGB測光センサーとDIGIC 4の組み合わせにより、明るさだけでなく被写体の色、顔を検出し、その情報を基に評価測光、評価調光を行うシステムで、主被写体の明るさをより適切に演算します()。また、AF、オートライティングオプティマイザとも連携しています。実際の測光は、センサーエリアを21×12ブロック(252分割)に分けて行います(図4)。なお、低輝度時は感度アップのため7×5ブロック(35分割)で測光します。

撮像系の画像処理用デュアルDIGIC 5+とは別に、測光系の画像処理用にDIGIC 4を搭載。

高速連写と静音撮影

①高速連写

ワンショットAFとAIサーボAFで、最高約12コマ/秒の連続撮影が可能です。

また、約14コマ/秒の超高速連続撮影も可能です。この機能は、ワンショットAF後ミラーアップ、連続撮影中のAFとAEは固定、JPEG撮影時のみという条件で行うことができます。

②静音撮影

ミラーダウンとシャッターチャージを通常撮影時よりも低速で行うことにより、ミラーダウンの衝突音やメカ駆動音を緩和しています。

先進の画作り機能

①多重露出撮影

1回の設定で2~9枚の多重露出撮影ができます。RAW+JPEGで、RAWとJPEG両方の多重露出画像を作ることも可能です。重ね合わせる画像の露出は、「加算」「加算平均」「比較(明)」「比較(暗)」から選択できます。

②カメラ内RAW現像

EOS-1D Xで撮影したRAW画像に、「明るさ補正、ホワイトバランス、ピクチャースタイル、オートライティングオプティマイザ、高感度撮影時のノイズ低減、JPEG記録画質、色空間、周辺光量補正、歪曲補正、色収差補正」を施して、JPEG画像として保存できます。

③色収差補正

撮影時のレンズ光学補正は周辺光量補正だけでしたが、新たに色収差補正ができるようになっています。

④ピクチャースタイルオート

EOSシーン解析システムにより、自然や屋外シーン、夕景シーンでより印象的な色調に仕上がるようになっています。

進化した動画撮影機能

図5 動画記録サイズ

図5 動画記録サイズ

図6 タイムコード

図6 タイムコード

①動画記録の機能向上

動画記録サイズは、動画編集に最適なALL-Iと、長時間撮影に適したIPBが選択できます(図5)。また、本格的なビデオ編集に欠かせないタイムコードの各種設定ができるようになっています(図6)。

②4GB制限廃止

これまでは1カットのファイル容量が4GBに達した時点で撮影が終了していましたが、この制限をなくし、最長29分59秒まで撮影できるようになっています。

③モアレと偽色低減

CMOSセンサーと動画画像処理の改良を行うことで、モアレと偽色を大幅に低減しています。

④露出制御とISO感度

動画専用プログラムAEとシャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出で撮影できます。ISO感度は、最高で204800相当の設定ができます。

快適性の追求

図7 ファインダー視野図

図7 ファインダー視野図

図8 電子水準器

図8 電子水準器

図9 再生クイック

図9 再生クイック

①充実のファインダー情報表示

視野率約100%のファインダーに透過型液晶を組み込むことで、61点AFフレームとグリッド、ファインダー内水準器、AF作動表示をさせることができます。なお、ファインダー視野外には、撮影モードが新たに表示されるようになっています(図7)。

フォーカシングスクリーンは、Ec-A、B、D、H、I、Lが使用できます。

②電子水準器搭載

液晶モニターにも水準器を表示させることが可能で、水平方向360度、あおり方向±10度の傾きを1度刻みで確認できます(図8)。

③クリアビュー液晶ll

3.2型・約104万ドットの高精細液晶モニターです。反射防止のため、液晶モニター表面(ガラス製)と液晶の間にある隙間(空気層)をなくすソリッド構造を採用し、さらに液晶モニター表面に反射防止コートを施しています。

④充実の再生機能
画像の拡大機能

拡大/縮小専用ボタンとメイン電子ダイヤル操作で、拡大/縮小が迅速にできるよう改善されています。また、再生時の拡大倍率などが設定できます。

再生時のクイック設定

再生時にクイック設定ボタンを押すことで、画像を確認しながら「画像プロテクト、画像回転、レーティング、RAW現像、リサイズ、ハイライト警告表示、AFフレーム表示、メイン電子ダイヤルでの画像送り」が行えるよう改善されています(図9)。

デザインと操作性

①デザインコンセプト

「超流体フォルム」を基本思想としながら、次のコンセプトでデザインされています。「キヤノンらしさ、EOS-1らしさの継承」「フラッグシップ機たる独自の存在感、リーディング感の追求」「高品位処理・精緻な造り込みによる、堅牢・凝縮感追求」

②操作性の向上と新操作部材

横位置/縦位置撮影用の絞り込みボタン、マルチファンクションボタン2、マルチコントローラーを備え、ホールディングしたまま、さまざまな操作ができるよう改良するなど、プロカメラマンからの操作性要望を細部まで徹底的にフィードバックしています。

③柔軟なカスタマイズ性能

カスタム撮影モードや操作ボタンカスタマイズなど、多様な撮影スタイルに最適対応できるカスタマイズ性能を備えています。

信頼性と耐久性の深化

図10 カメラシステム情報

図10 カメラシステム情報

①作動耐久40万回クリア

EOS-1D Mark Ⅳの30万回に対し、40万の作動耐久試験をクリアしています。なお、レリーズ回数や過去に発生したエラーや注意の履歴を「カメラシステム情報」の画面で確認できます(図10)。

②防塵・防滴性能

操作部材と外装カバー合わせ部に、計76箇所の徹底した防滴・防塵処置を施しています。

システムのさらなる拡充

写真5 GP-E1

写真5 GP-E1

①ギガビット有線LAN機能内蔵

有線LAN端子を備えており、FTPサーバーへの高速画像転送やEOS Utilityを使用した有線LANリモコン撮影ができます。

②無線LANとGPS対応

無線LANで画像転送ができるワイヤレスファイルトランスミッターWFT-E6(別売)が用意されています。また、撮影場所や撮影方向、撮影時間を画像に付加できるGPSレシーバーGP-E1(写真5・別売)が用意されています。どちらもカメラにマッチしたコンパクト設計で、撮影を妨げずに使用できます。

  EOS-1D X EOS-1D Mark IV
画素数 1810万画素 1610万画素
映像エンジン デュアルDIGIC 5+ デュアルDIGIC 4
ワンタッチ記録画質切り換え -
画作り機能 ピクチャースタイルオート -
色収差補正 -
撮影後の画像処理 RAW現像 -
リサイズ -
画像記録 記録メディア CF(Type I, II)×2 CF(Type I, II),SD
外部記録メディア対応 -
インテリジェントビューファインダー -
オートフォーカス AFフレーム数 61点 45点
AIサーボAF AIサーボAF III AIサーボAF II
AFカスタム設定ガイド機能 -
EOS iTR AF -
露出制御 測光センサー 10万画素RGBセンサー 63分割測光センサー
測光センサー分割数 252 63
EOS iSA System -
ISO感度 (L:50)100~51200
(H1:102400, H2:204800)
(L:50)100~12800
(H1:25600, H2:51200, H3:102400)
カスタム撮影モード -
露出設定ステップ[段] ±5 ±3
ストロボ同調速度 1/250 1/300
多重露出撮影 -
ドライブ
(最高約コマ/秒)
連続撮影速度 12 10
超高速連続撮影 14 -
連続撮影可能枚数:RAW/ラージファイル(UDMA) 35/100 (38/180) 26/85 (28/121)
水準器(液晶モニターとファインダー) -
作動耐久 40万回 30万回
動画撮影 圧縮方式ALL-I/IPB対応 -
タイムコード対応 -
4GB制限なし -
画像再生 レーティング -
クイック設定 -
画像転送 ダイレクト画像転送 -
有線LAN画像転送 -
操作ボタンカスタマイズ -
液晶モニター 3.2型/ 104万ドット 3.0型/ 92万ドット
機能ガイド -
ワールドタイム -
カメラ間時刻同期 -
カメラシステム情報 -
撮影可能枚数(常温:ファインダー撮影) 1120 1500
大きさ(幅×高さ×奥行mm)CIPA基準(約) 158×163.6×82.7 156.4×156.6×85.9
質量[g]CIPA基準(約) 1530 1370

表1 EOS-1D X と EOS-1D Mark IV の主要仕様比較一覧表

ISO32000以上(カメラ内部の温度が低温状態のときはISO20000以上)のときは、高速連続撮影時の連続撮影速度が最高約10コマ/秒となります。