2011年12月号
映像エンジン、レンズ、センサーを一新した新モデル

写真1 PowerShot S100(ブラック)

写真2 PowerShot S100(シルバー)
今月の技術レポートは、2011年11月に発表した、カメラ部有効約1210万画素高感度CMOSセンサーと、F2.0(広角端)のレンズシフト式手ブレ補正機構付き5倍ズームレンズ(35mm判換算焦点距離24-120mm)を搭載したPowerShot S100の概要と特長に関する情報をお届けします。
開発の狙い
PowerShot S90、S95と続く新生Sシリーズは、コンパクトなボディデザインの中に、F2.0の明るいレンズと暗い所に強いHS SYSTEMを搭載し、コントローラーリングによるアナログな操作感も相まって、キヤノンならではのハイエンドクラスデジタルカメラとして市場から高い評価を得ています。
PowerShot S100(写真1、2)は、PowerShot S95の後継機種として開発した新製品で、S95の基本コンセプトを継承しながら、映像エンジン、センサー、レンズを一新し、フルハイビジョン動画やGPSを搭載するなど、高画質と高機能をさらに進化させました。
なお、開発の狙いは次のとおりです。
■シンプルデザインと圧倒的高画質を追求してSシリーズを正統進化させ、キヤノンらしい高級コンパクトデジタルカメラを実現
特長1 高画質

写真3 DIGIC 5
●新映像エンジンDIGIC 5
キヤノンは1999年以来、独自開発による映像エンジンをデジタルカメラに搭載し、その高画質・高性能により、デジタルカメラの魅力を高めてきました。
PowerShot S100は、新開発の映像エンジン「DIGIC 5(写真3)」を搭載し、よりいっそうの高画質・高性能を実現しています(表1)。

表1 DIGIC 5による高画質・高性能
●ノイズリダクション性能の向上
DIGIC 5の優れた演算処理能力により、高感度撮影時も解像感を保ちつつノイズ成分が低減されます。
●ホワイトバランス性能の向上(マルチエリアホワイトバランス)
DIGIC 5は、画像を多くのエリアに分割し、それぞれの領域ごとの色情報から光源の種類を判別します。そのため、「水銀灯+その他の光源」と「ストロボ光+その他の光源」の判別が可能となり、主被写体と背景が異なる光源で照らされているような場合でも、その両方が最適な色合いになるように調整できます。
●暗部補正性能の向上
撮影した画像の露出やダイナミックレンジなどの画像特性の分析、その結果に応じた補正量の制御、両方の解析アルゴリズムがDIGIC 5ではさらに改良されており、従来以上に明暗のつながりが自然に仕上がります。

図1 高感度CMOSセンサー
●1/ 1.7型、カメラ部有効約1210万画素の高感度CMOSセンサー
Power Shot S100は、自社開発の高感度CMOSセンサー(1/1.7型、カメラ部有効約1210万画素)を採用しています(図1)。このセンサーは、EOS用センサーで蓄積されたテクノロジーを継承しながら、コンパクトカメラ用に最適化したもので、高速性に優れています。この特長を生かし、PowerShot S100は、AFの高速化や高速連続撮影、フルハイビジョン動画やハイスピード動画を実現しています。
●F2.0のレンズシフト式手ブレ補正機構付き5倍ズームレンズ
PowerShot S100は、35mm判換算24-120mm、開放F値F2.0(広角端) -F5.9(望遠端)の5倍ズームレンズを搭載しています。レンズ構成は6群7枚で、そのうち非球面レンズは3枚(両面非球面UAレンズ1枚、両面非球面レンズ1枚、片面非球面レンズ1枚)です(図2)。キヤノンの光学技術を結集し、沈胴時に10円硬貨サイズのコンパクト化を達成しながら(図3)、広角・高倍を実現しています。

図2 レンズ構成図

図3 コインサイズの
コンパクトな沈胴設計
●HS SYSTEMの進化
PowerShot S100は、新イメージセンサーと新映像エンジンDIGIC 5によりHS SYSTEMが進化し、画質が大幅に向上しています。
さらに、高感度領域でもさまざまなパラメーターを設定して撮影できるように改善し、撮影モード「M」、「Tv」、「Av」、「P」でISO 6400までの感度設定が可能です。暗いシーンやシャッタースピードを速くしたいシーンでも、記録画素数の選択や各種設定を付加しながら、ノイズを抑えた撮影ができます。
●逆光時の主被写体検出精度の向上
PowerShot S100は、逆光判定のアルゴリズムを改善し、従来なら暗すぎて逆光と判定されなかったシーンでも主被写体(人)を検出できるようになりました。この結果、ストロボモードを「オート」にしているときに適切に自動発光が行われ、自然な仕上がりの写真が得られやすくなっています。
●約4段分の効果のある光学式手ブレ補正機構
●シーンにあわせて発光量や明るさを最適に制御する「ぴったりフラッシュ」
●サーボAF・サーボAE
●キャッチAF
●撮影シーンに最適な露出と階調表現になるように補正する「i-コントラスト」
特長2 高機能
●マルチシーンIS
PowerShot S100は、静止画と動画、ズーム位置、撮影距離といった撮影状況に応じて、カメラが自動的に最適な手ブレ補正モードを選択する「マルチシーンIS」を搭載しています。オートモード撮影時には液晶モニターに、選択されているISモードがアイコンで表示されます(表2)。

表2 マルチシーンIS
●多彩なシーンモード(※1)
最高約9.6枚/秒(※2)の高速連写が可能な「ハイスピード連写HQ」を搭載しています。ハイスピード連写HQは、カメラ内のメモリーがいっぱいになるまで連続撮影してから、メモリーカードに一気に記録します。そのため、記録画素数の制限がなく、高画質での高速連続撮影が可能です。
そのほかにも、静止画撮影のたびにその直前の最大4秒間を動画で記録して1日分の動画を一つのファイルにまとめる「ムービーダイジェスト」、1回の撮影で複数枚の画像を連続撮影した後、カメラ内で高精度な画像合成をすることで、三脚を使わなくてもきれいな夜景が撮影できる「手持ち夜景」など、撮影状況や撮影シーンに合わせた撮影をさらに楽しめるように、多彩なシーンモードを搭載しています。
また、モードダイヤルに「クリエイティブフィルター」を新設し、PowerShot S95で搭載していたフィルター効果系のシーンモードと、新たに加えた「トイカメラ風」、「モノクロ」を集結しています。
※1「表3 PowerShot S100の主な仕様」の撮影モード参照。
※2 1回の連続撮影では最大8枚までです。
●32シーンが判別可能な「こだわりオート」、21シーンが判別可能な「こだわりムービー」
●動画ボタン搭載、撮影中の光学ズームやステレオ音声による充実の動画機能
Sシリーズで初めて、静止画モードでも素早く動画撮影を開始できる動画ボタンを搭載しました。また、1920×1080画素(24fps)の「フルハイビジョン動画」に対応しているほか、Apple社が提唱する「iFrame動画」、肉眼ではとらえきれない瞬間をスローモーション再生で楽しめる「ハイスピード動画」、ミニチュア模型のような効果と早送りによる動きを楽しめる「ジオラマ風」動画なども対応しています。
●動きのある被写体にピントを合わせながら連写を行う「AF連続撮影」
●マルチアスペクト対応
●ヒストグラム表示
●GPS機能
衛星からの信号を受信して測位したデータを撮影時の位置情報とし、撮影した画像と一緒にメモリーカードに記録します(この位置情報は、再生時に確認できます(図4))。
さらに、ロガー機能も搭載しており、カメラの電源を切った状態のときのみ、GPS機能が定期的に起動して自動的に測位し、位置情報をメモリーカードに記録します。
これらの撮影ポイントやカメラが移動した位置情報は、付属ソフトウエア「Map Utility」を使うとパソコンの画面に表示した地図上に軌跡として表示できます(図5)。

図4 再生時の位置情報表示

図5 Map Utillity画面
特長3 快適操作
●3.0型・約46.1万ドット液晶モニター(クリアライブ液晶G)」
●各種撮影パラメーターをマニュアル感覚で設定可能な「コントローラーリング」
●自動ポップアップストロボ
●メニューやモードのガイダンス表示
●再生中の画像をもとに4つの画像をカメラが自動で選んで表示する「連想再生」
●ハイスピード連写HQで撮影した画像を一つのグループとし、1枚目だけを表示する「グループ再生」
●ムービーダイジェストで記録された動画の再生に特化した「ムービーダイジェスト再生」
●スクロール再生による快適な画像送り
●再生画像の切り換え時に効果を付けることもできる画像送りやスライドショー
●選択した日付やカテゴリーのみを再生できる「絞り込み再生」
●よく使う撮影メニューを登録できるマイメニュー
特長4 Sシリーズの系譜を受け継いだシンプルで高級感のあるスクエアボディ
従来よりも軽量・高硬度のアルミ合金製カバーをまとった端正なボディは、カメラ上面を凸上に膨らませることなくGPSユニットをさりげなく内蔵しています。カラーバリエーションは2色で、シルバーモデルはチタンを感じさせるアルマイトおよびメタリック塗装、ブラックモデルはマット調の本体と落ち着いた操作部の塗装により、それぞれが光学機器としての上質感を醸し出しています。
また、前後に施されたグリップパーツや段差をつけてレイアウトされたダイヤル・ボタンなどにより、グリップ感と操作感も一段と向上しています。
特長5 充実した印刷機能・デジタルコミュニケーション
●DPOF機能を利用した印刷予約
●PictBridge対応
●ホームページ「CANON iMAGE GATEWAY」の利用が可能
●HDMIミニコネクター装備
特長6 豊富なシステムアクセサリー

写真4 ハイパワーフラッシュ
HF-DC2

写真5 ウォータープルーフケース
WP-DC43
●Eye-Fiカード対応
●SDXCメモリーカード対応
●Exif 2.3対応
●ハイパワーフラッシュ(別売)
カメラ本体のストロボの発光を検知して発光するハイパワーフラッシュHF-DC2(写真4)を用意しています。24mm(35mm判換算)の画角までカバーするワイドアダプターを標準装備しており、付属のブラケットでPowerShot S100に取り付け可能です。
●ウォータープルーフケース(別売)
水深40mまで使用可能なウォータープルーフケースWP-DC43(写真5)を用意しています。
●ソフトケース(別売)
ボディを保護するための本革製専用ソフトケース PSC-2950がオプション設定されています(写真6)。また、キヤノンオンラインショップ限定販売のオリジナルソフトケースもご用意しております(写真7)。

写真6 ソフトケースPSC-2950

写真7 キヤノンオンラインショップ
限定ソフトケース PSC-S100LIMITED1

写真8 キット構成
■以上、今月は、PowerShot S100をご紹介しました。表3にPowerShot S100の主な仕様一覧を示します。
本体には、写真8に示したようなキットが付属しています。なお、希望小売価格はオープン価格となっています。
| PowerShot S100 | |
|---|---|
| 撮像素子(CMOS) | カメラ部有効約1210万画素(高感度タイプ)、1/1.7型(総画素数:約1330万画素) |
| カラーフィルター | 原色フィルター |
| 撮影レンズ(35mm判換算) | 24 - 120mm、F2.0(広角端) - F5.9(望遠端) 5倍ズーム |
| デジタルズーム | 約4.0倍(光学ズームと合わせて最大約20倍) |
| 液晶モニター | 3.0型(TFTカラー、約46.1万ドット、高色再現・広視野角タイプ)、輝度調節、LCDブースター |
| オートフォーカス(制御方式) | シングル(撮影モード「オート」時はコンティニュアス)、サーボAF・サーボAE、顔優先 AiAF/キャッチ AF/中央/アクティブフレーム |
| 撮影距離 | オート時 : 3cm - ∞ (広角端)/ 30cm - ∞ (望遠端)、マクロ選択時 : 3 - 50cm(広角端)/ 30 - 50cm(望遠端) |
| シャッター | メカニカルシャッター・電子シャッター併用 |
| シャッタースピード | 1 - 1/2000秒、15 - 1/2000秒(すべての撮影モードを合わせたシャッタースピード範囲) |
| 測光方式 | 評価/中央部重点平均/スポット(中央固定/ AFフレーム連動) |
| 露出補正 | ±3段(1/3段ステップ) |
| ISO感度 (標準出力感度/推奨露光指数) |
撮影モード「P」時 : オート、ISO 80/ 100/ 125/ 160/ 200/ 250/ 320/ 400/ 500/ 640/ 800/ 1000/ 1250/ 1600/ 2000/ 2500/ 3200/ 4000/ 5000/ 6400 |
| ストロボ調光範囲 | 50cm - 7.0m(広角端)/50cm - 2.3m(望遠端)(感度:オート設定時) |
| ホワイトバランス | オート/太陽光/くもり/電球/蛍光灯/蛍光灯 H/ストロボ/水中/マニュアル |
| 撮影モード | C、M、Av、Tv、P、オート*1/ SCN*2/クリエイティブフィルター*3/動画 *1 こだわりオート可能 *2 ムービーダイジェスト/ポートレート/風景/キッズ&ペット/オートシャッター*4ハイスピード連写 HQ/手持ち夜景/ビーチ/水中/新緑・紅葉/スノー/打上げ花火/スティッチアシスト *3 ハイダイナミックレンジ/ノスタルジック/魚眼風/ジオラマ風/トイカメラ風/モノクロ/極彩色/オールドポスター/ワンポイントカラー/スイッチカラー *4 スマイル/ウインクセルフタイマー/顔セルフタイマー ・動画は静止画モードで動画ボタン押下による撮影も可能*5 *5 静止画撮影時の画像効果を継承するモード(その他のモードでは、Pモード相当の動画になる) : オート*6、ポートレート、風景、ビーチ、水中、新緑/紅葉、スノー、打上げ花火、ノスタルジック、ジオラマ風、モノクロ、極彩色、オールドポスター、ワンポイントカラー、スイッチカラー *6 こだわりムービー |
| 連続撮影 | 通常連続撮影時:約2.3 枚/ 秒(撮影モード「P」時)、約9.6枚/ 秒 *(撮影モード「ハイスピード連写HQ」時) ・ストロボが自動発光しない明るさにおいて。また、ズームポジションによって異なる。 * 1回の連続撮影枚数の上限は8枚 |
| 記録画素数(静止画) 〈アスペクト比 4 : 3時〉 |
RAW : 4000 × 3000画素、ラージ : 4000 × 3000画素、ミドル1 : 2816 × 2112画素、ミドル2 : 1600 × 1200画素 スモール : 640 × 480画素 |
| 圧縮率(静止画) | ファイン、ノーマル |
| 動画 | スタンダード/動画ボタン押下による撮影*1 : 1920 × 1080画素(24 fps*2)/ 1280 × 720画素(30 fps*3)/ 640 × 480画素(30 fps*3) iFrame 動画 : 1280 ×720 画素(30 fps*3)、ハイスピード動画 : 640 × 480画素(120 fps)*4/ 320 × 240画素(240 fps)*4 ムービーダイジェスト : 640 × 480画素 (30 fps*3) *1 ジオラマ動画撮影時は1280 × 720画素(6/ 3/1.5 fps)*4/ 640 × 480画素(6/ 3/1.5 fps)*4 *2 実際のフレームレートは 23.976 fps *3 実際のフレームレートは 29.97 fps *4 再生時は 30 fps*3 |
| 記録媒体 | SDメモリーカード/ SDHCメモリーカード/ SDXCメモリーカード |
| 色空間 | 標準(sRGB) |
| ファイルフォーマット | DCF準拠、DPOF対応 |
| データタイプ | 静止画 : Exif 2.3(JPEG/RAW(CR2)) 動画 : MOV(画像 : H.264、音声 : リニア PCM (ステレオ)) GPSログファイル : NMEA 0183 メッセージ形式に準拠 |
| 電源 | 専用リチウムイオン電池 : NB-5L、ACアダプターキット : ACK-DC30(オプション) |
| 大きさ(CIPA準拠) | 98.9 × 59.8 × 26.7mm |
| 質量(CIPA準拠) | 約198g(電池・メモリーカード含む)、約173g(本体のみ) |
表3 PowerShot S100の主な仕様









